2017年夏の北極海氷分布予報を公開しました。
北極海氷分布予報 2017
※ArCSのウェブサイトからも閲覧可能です。
昨年と同様、冬から春にかけての海氷の動きから春の北極海の海氷の厚さ分布を推定し、それをもとに夏の海氷分布を予測しました。この予測には地球観測衛星に搭載された日本のマイクロ波放射計AMSR-EとAMSR2による観測データを用いています。計算結果をもとに、予報の第一報を5月19日に、予測計算に用いるデータの期間を延長して再計算した第二報を6月28日に公開しました。
今年の北極海の海氷域は、ロシア側のラプテフ海、ベーリング海峡に近いチャクチ海での後退が速く進行します。一方、カナダ側のボーフォート海の海氷後退は昨年より遅くなります。9月の最小面積は昨年よりやや大きく、一昨年とほぼ同じ約460万平方キロメートルとなる見込みです。上記ウェブサイトと北極域データアーカイブシステム(ADS)のViSHOPでは7月1日から9月15日までの毎日の予測海氷分布を見ることができます。このあと、7月末に夏の海氷予報の第三報を、9月には秋から冬にかけての海氷分布の予報を公開する予定です。
近年、北極海は貨物船の航路としても利用されるようになってきました。安全で効率的な北極海の利用に役立つよう、今後も予測手法の改良をすすめていきます。
木村詞明(東京大学大気海洋研究所)