ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

ブラックカーボン及びメタンに関する第4回AC専門家会議報告

ブラックカーボン及びメタンに関する第4回AC専門家会議が2017年10月3、4日にフィンランドのヘルシンキで行われました。アメリカ、カナダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、フランス、イタリア、日本、韓国、EU、北極圏アサバスカ評議会(AAC:Arctic Athabaskan Council)、北極圏汚染対策プログラム作業部会(ACAP: Arctic Contaminants Action Program)、北極評議会(Arctic Council)が参加し、日本からは、国立極地研究所の近藤 豊(特任教授)が出席し討議に参加しました。

アメリカが議長の2年間で本格的なECBGMの報告書(Summary of Progress and Recommendations)の作成が行われ、2017年5月の北極評議会閣僚会議に提出された。同年5月11日付のフェアバンクス宣言(Fairbanks Declaration)にもこの報告書の内容が盛り込まれました。今回の会議では、今後の2年間において、どのような方針で第2次報告書を作成するかということを中心に議論がなされた。議論された主要な点を以下に列挙します。

  • 2019年の北極評議会閣僚会議に第2次報告書を提出する。
  • 第1次報告書で変わらない部分はそれを用い、第1次報告書を参照することなく読めるようにすることが便利であり、望ましい。
  • 第1次報告書以降の進展や、それに取り込めなかった部分に重きを置く。例えば、船舶、石油採掘時のメタン燃焼、森林火災などからのBCの排出である。
  • メタンについてより詳細な調査をする。
  • 第2次報告書の主要な項目をリストアップし、その詳細内容については専門家に参加を依頼し、彼らの意見を聞く。
  • 国連欧州経済委員会(UNECE)、CLRTAPに加盟していない国(日本もこれに該当する)には、BC排出量の報告義務はないが、関連情報の提供を要望する。
  • EGBCMの活動を北極圏監視評価プログラム作業部会(AMAP:Arctic Monitoring and Assessment Programme)と協調して推進し、EUの研究課題としても予算申請する。

EGBCMは気候変動に対する国際的枠組みの一環としての性格があります。また北極温暖化対策としてのEGBCMは国連のCCAC (Climate & Clean Air Coalition)とつながりを持ってきました。より大きな枠組みとしてはパリ協定(Paris agreement)やIPCCとも連携していると考えた方が良いように思えます。日本はこの議論に参加し、北極温暖化対策に協力し続けることは、外交的にも重要である。ArCSの一環としてのEGBCM, AMAP (SLCP)は北極温暖化対策への日本の国際貢献と捉えた方が良いと考えられます。

近藤 豊/国立極地研究所・特任教授(テーマ3 実施担当者)