ArCS 北極域研究推進プロジェクト

2019年度海洋地球研究船「みらい」北極航海

研究課題

2019年度の「みらい」北極航海で実施する観測・研究についてご紹介します。

1)気象・海氷・波浪予測研究と北極航路支援情報の統合(テーマ1関連課題)

ラジオゾンデ観測、雲粒子ゾンデ観測、船体装備機器による連続観測、船舶海氷レーダー画像取得、飛沫観測、波浪観測、XCTD/CTD観測、ドローン観測、海面温度観測を行います。

ラジオゾンデ観測:北太平洋から北極海にかけての航路上で6時間間隔のラジオゾンデ放球を実施します。写真は昨年の航海における手放球のようす。

波浪観測用のブイ。氷が張りだす時期の波の動きを観測するため、チャクチ海で波浪ブイを投入します。船体にステレオカメラを搭載し、波高計算のデータも取得します。

海氷縁付近の海氷分布、積雪状況、表面温度などを、ドローンを用いて空から調査します。

2)北極海・ベーリング海・西部北太平洋における海洋大気船上観測(テーマ3関連課題)

係留気球

「みらい」船上に連続観測装置を設置し、北太平洋から北極海にかけての航路上で大気成分の連続観測を行います。そのほかエアロゾルサンプリング、表層海水の成分分析、暴露甲板の水蒸気・降雪・降雨等のサンプル採取、大気化学輸送モデルの予測計算結果を用いたモデル検証観測、係留気球を用いたエアロゾルやブラックカーボンの鉛直観測を実施します。

3)陸域水循環への海氷減少の影響評価(テーマ4関連課題)

甲板で降雨や降雪のサンプルを取得し、水蒸気の同位体比の連続観測を行います。

4)西部北極海における冬季・氷縁域の海洋物理観測(テーマ4関連課題)

乱流計を海中に投入し、海中を自由落下させ、海洋の乱流構造を観測します。また、航路上で表層漂流ブイ投入を行います。

5)秋季の太平洋側北極海におけるプランクトン群集の短期時系列変動に関する研究(テーマ6関連課題)

プランクトンネット観測

プランクトンネット観測、尾虫類飼育実験、採泥・海底生物の採取、植物プランクトン観測を行います。

6)西部北極海における海水中CO2及びCH4の時空間変動(テーマ4関連課題)

採水観測。流向・流速、塩分、水温、深度、溶存酸素、透過度、蛍光光度、PAR、硝酸塩、音速など、様々な測定を行います。

CTD/LADCP/採水観測、バケツ採水観測、表層モニタリング/表層連続採水を行います。

7)北極海及び西部北太平洋における大気中温室効果ガス及び関連成分の観測(テーマ3関連課題)

大気中の温室効果ガス観測用の大気取り入れ口

「みらい」船上にメタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)の連続観測装置を設置し、北太平洋から北極海にかけての航路上で連続観測を行い、洋上大気中の濃度分布を明らかにします。また、大気試料のフラスコサンプリングを1日1回程度の頻度で実施し、CO2・CH4の同位体組成やO2/N2比、Ar/N2比の空間分布を明らかにします。

8)海底地形調査

航海状況に応じて、マルチビーム音響測深機による海底地形調査、サブボトムプロファイラーによる地層探査等を実施します。