専門家派遣 | ArCS II 北極域研究加速プロジェクト https://www.nipr.ac.jp/arcs2 北極域に関する先進的・学際的研究を推進し、その社会実装を目指します Tue, 24 Dec 2024 00:05:58 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.5 北極評議会北極圏海洋環境保護作業部会(PAME) Shipping Expert Group (SEG) Meeting 参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-12-23-1/ Tue, 24 Dec 2024 00:05:57 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=13507 報告者:大塚 夏彦(北海道大学/北極航路課題) 2024年11月4~5日にオンラインにて北極評議会北極圏海洋環境保護作業部会(PAME)Shipping Expert Group (SEG)の2024年度3回目の会議が開 […]

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報告者:大塚 夏彦(北海道大学/北極航路課題)

2024年11月4~5日にオンラインにて北極評議会北極圏海洋環境保護作業部会(PAME)Shipping Expert Group (SEG)の2024年度3回目の会議が開催されました。本会議はPAME全体会合への報告に向け、これまでの活動報告と今後の活動計画に関する最終協議を行ったもので、ロシアを含めて76名の参加登録がありました。SEGの活動は下記の11のプロジェクトを基本に行われています。

1) Arctic Shipping Status Reports(ASSR):衛星AIS情報等をもとに、2013~2023年の船舶航行状況、重油の利用状況、北西航路の利用状況、航行船舶の旗国、航行船舶の船種に関するレポートが公表されました。
2) Arctic Shipping Best Practice Information Forum:2025年1月に国際海事機関(IMO)、ノルウェー政府と共同で2025 Polar Maritime Seminarを開催する計画です。
3) Arctic Port Reception Facilities Inventory:北極圏の港湾施設の受け入れ能力をリスト化し、インフラの充足・不足状況の把握を図る調査を実施しています。
4) Collaboration with the Arctic Regional Hydrographic Commission(ARHC):ARHCと北極評議会とのMOU締結に向けた協議を実施中です。
5) Interpretation of the Polar Code:IMO極海コードの有効・適正な実施を図るため、北極評議会としての意見を整理してIMOへのレポートを作成しています。
6) New Low Sulphur Fuels, Fate, and Behaviour in Cold Water Conditions:船舶用低硫黄燃料の低温環境での挙動や毒性等を検討し、流出油対策のためPAMEおよび緊急事態回避、準備および対応部会(EPPR)にレポートを提供しました。後継プロジェクトも検討中となっています。
7) Systematically Strengthening Observer Engagement in PAME’s Shipping Work:2024年、Observer FAQsを成果としてまとめました。
8) Arctic Arrangement for Regional Reception Facilities:船舶からの廃物に関するMARPOL条約付属書Vにおける陸上受け入れ施設規定に関し、北極圏国に限定した修正を導入したものです。これを引き継いだ後継プロジェクトRegional Reception Facilities Plan(RRFP, 2025-2027)が計画されています。
9) Underwater Noise in the Arctic: Understanding Impacts and Defining Management Solutions – Phase II:2019年・2021年レポートをもとに、海中騒音による環境影響を最小化するための判断支援ツールを作成中です。
10) Wastewater Discharges from Vessels in the Arctic – A Survey of Current Practices:北極域における船舶排水・排出ガス処理に関する理解の向上のためのレポートが2024年に報告されました。その後、後継プロジェクトWastewater Discharges from Ships in the Arctic: Quantification and Best Practicesが承認されています。
11) Raising awareness in the Arctic Council of the provisions of the 2012 Cape Town Agreement:2012年漁船の安全のためのケープタウン協定(IMO)に基づき、北極域での漁船の安全性向上に関する検討を行い、レポートを作成中です。

以上のうち3)、5)、7)、11)のプロジェクトは完了となり、新たに下記の4プロジェクトを提案することが決まりました。

1) Arctic Marine Tourism: Mapping Whale Watching in the Arctic
2) The Development of a Regional Reception Facilities Plan
3) Potential Places of Refuge for Vessels in Need of Assistance in the Arctic: An Inventory
4) POLARIS

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国際北極科学委員会(IASC)執行委員会参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-12-05-1/ Thu, 05 Dec 2024 05:14:11 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=13449 報告者:榎本 浩之(国立極地研究所) 国際北極科学委員会(IASC)の執行委員会に出席し、2024年度のIASCの活動および今後のIASCの活動予定について検討を行いました。執行委員会のメンバーは以下のとおりです: He […]

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報告者:榎本 浩之(国立極地研究所)

国際北極科学委員会(IASC)の執行委員会に出席し、2024年度のIASCの活動および今後のIASCの活動予定について検討を行いました。執行委員会のメンバーは以下のとおりです:
Henry Burgess, President
João Canario, Vice-President
Matthew Druckenmiller, Vice President
Hiroyuki Enomoto, Vice President
Paula Kankaanpää, Vice President (online)
Gerlis Fugmann, Executive Secretary
Kolbrún Reynisdóttir, Executive Officer
Federica Scarpa, Communications Manager

議題を以下に示します:
・2025年3月のASSW(Arctic Science Summit Week)で検討される北極研究長期計画ICARP IVの準備状況についての米国からの報告と委員会での確認
・2023~33年に予定されている国際極年IPY(International Polar Year)のコンセプトノートの更新と、運営グループの準備状況に関する報告と意見交換
・今後のASSWの開催予定の確認。2027年の日本開催の準備状況の報告、2028年以降の開催の候補地についての意見交換
・2030年に予定されているJoint IASC-SCAR(Scientific Committee on Antarctic Research)Conference 2030の開催地が韓国に決定したことの報告
・IASC会計報告、IASC各作業部会(WG)の報告について
・今後のIASC Strategic Planningの準備および活動レビューの準備について
・HPや広報などIASC Communication、IASC Medalの候補者検討について
・Arctic Observing Summitt(AOS)およびSustaining Arctic Observing Network(SAON)に関する活動情報の共有

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2024年北極サークル総会 参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-12-05-2/ Thu, 05 Dec 2024 05:13:28 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=13451 報告者:榎本 浩之(国立極地研究所) 10月17日から19日までアイスランドのレイキャビクにあるハルパ・コンサートホール&カンファレンスセンターで開催された2024年北極サークル総会には、75カ国から2,500人以上が参 […]

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報告者:榎本 浩之(国立極地研究所)

10月17日から19日までアイスランドのレイキャビクにあるハルパ・コンサートホール&カンファレンスセンターで開催された2024年北極サークル総会には、75カ国から2,500人以上が参加し、250以上のセッションでは700人以上の講演者が発表やパネル討論を行いました。

従来の総会のプレナリーおよびブレイクアウトセッションに加え、今年からPolar DialogueとBusiness Forumが企画され、別会場も準備されました。Polar Dialogueでは、各国の政府関係者を1名ずつインタビューしていくセッションも開催されました。本総会も11年目を迎え、会合の参加者やセッション数は増加していますが、パラレルに行われるセッションの数も増え、さらに今年は複数の建物を使ったことに加えて対面開催であったこともあり、参加できるセッションは一部のものに留まりました。今後、一部のパネルは記録動画の配信が期待されますが、それも全体から見ればわずかです。

報告者は下記の3つのセッションで登壇しましたが、Synoptic Arctic Surveyのセッションには日本からも海洋研究者約5名が参加していました。また、各国の北極担当大使が登壇された複数のパネルや、科学と外交の議論セッションにも日本から関係者が参加していました。
1. Responding to Arctic Climatic Changes Impacting Asia: Society and Collaborations
2. Achievements of Japan’s Arctic Cooperation
3. Polar Dialogue, Status of Antarctic
※1.のセッションはArCS IIが主催しました。

1.のセッションでは、ArCS IIが推進する北極の環境変動とアジアへの影響について話題を提起し、アジアの極地研究所の代表者が関連する活動を紹介し、会場からの質問にも答えながら、課題や今後の方向性を議論する場を持ちました。本セッションは、日本からの提案に対し、中韓印の極地研究所所長クラスの理解と協力を得て開催することができました。

本セッションの背景として、北極の急速な温暖化は、その地域の気象と環境に影響を及ぼし、さらにアジア(極東)に劇的な影響を与えていることを紹介しました。それに加えて、国家の科学投資と実施、その成果や今後の計画がどのようになっているかを紹介しました。日本と韓国からは、北極圏からアジアへの寒気流出に関する研究成果が紹介されました。日本からは寒冷渦の研究成果が気象予報を通じて社会で活用されている動きについても紹介しました。中国は、北極海や陸域での観測所設置や調査活動を報告し、インドは、気候変動が多くの人口が集中するインドへの影響を与えることを報告し、科学的理解や予測と社会の対応が緊急の課題であることに言及しました。会場からは、北極評議会との関係や、人材育成、データの共有についての質問があり、それぞれの国の取り組みを紹介しました。日本からは、北極評議会作業部会への取り組みや、人材育成の取り組み、若手の参加者の様子、データ公開の仕組みを紹介しました。

なお、総会の最後には今回から始まったPolar Dialogueの総括パネルが行われましたが、グリーンランドで日本人研究者との交流もあるMiyuki Qiajunnguaq Daoranaさんが若手代表として、プレナリーでのパネル議論に参加して、活躍しているのは印象的でした。

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北極動植物相保全(CAFF)作業部会役員会議について https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-11-21-1/ Thu, 21 Nov 2024 04:57:30 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=13368 報告者:内田 雅己(国立極地研究所/陸域課題) 2024年9月25日~9月27日の3日間、北極動植物相保全作業部会(CAFF)役員会議が開催されました。3年ぶりの会議で、議長国はデンマークでした。これまでは、北極の先住民 […]

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報告者:内田 雅己(国立極地研究所/陸域課題)

2024年9月25日~9月27日の3日間、北極動植物相保全作業部会(CAFF)役員会議が開催されました。3年ぶりの会議で、議長国はデンマークでした。これまでは、北極の先住民が住んでいる地域で開催していた会議でしたが、今回はオンラインでの開催となりました。参加人数は日によって異なりますが、55名ほどでした。

今回の会議で最も多くの時間を費やしたのは、AAB:Actions for Arctic Biodiversity(北極生物多様性に関するアクション)でした。AABは2013年~2023年で活動計画が策定されていましたが、2022年以降CAFFの活動が止まっていたため、継続して策定されていませんでした。今後策定するアクション(2025-2035)は、2022年12月に採択された新たな生物多様性に関する世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」のグローバルターゲットを考慮することになりました。

周北極生物多様性モニタリングプログラム(CBMP)からは、陸域、海洋、淡水、沿岸の4グループから報告がありました。これまでの活動や成果、現在の組織の概要を紹介したのち、COVID-19蔓延による活動の遅れを報告しました。今後の計画として、昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)、生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)、そして生物多様性観測ネットワーク(GEO BON)などと直接連携を組める取り組みを進めているとの報告がありました。

2019年から準備を開始し、2021年に運営委員会を立ち上げた北極圏監視評価プログラム作業部会(AMAP)との共同プロジェクト「気候変動が北極の生態系に与える影響とそれに伴うフィードバック」他、継続していたプログラムやプロジェクトについては、これまでの活動紹介が主で、今後再始動するための実働メンバーの確認や、活動が停止していた間の科学的、政治的、および社会的な変化を踏まえた上で、今後の活動計画を練り直して進めていく方針の報告が大半でした。

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ASSW2024・IASC社会人間作業部会会合参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-07-18-1/ Thu, 18 Jul 2024 04:03:25 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=12423 報告者:大西 富士夫(北海道大学/国際政治課題) 国際北極科学委員会の社会人間作業部会(SHWG)の会合が2024年3月22日に現地参加とオンライン参加を含めたハイブリット形式で開催されました。会合は、SHWG委員以外の […]

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報告者:大西 富士夫(北海道大学/国際政治課題)

国際北極科学委員会の社会人間作業部会(SHWG)の会合が2024年3月22日に現地参加とオンライン参加を含めたハイブリット形式で開催されました。会合は、SHWG委員以外の参加者にも開かれた公開審議(午前10時30分から午後3時30分)とSHWG委員のみによる非公開審議(午後4時から6時)から構成されました。議長は、アイスランドのCatherine Chambers氏、副議長は、チェコのBarbora Halašková氏、英国のIngrid Medby氏が務めました。日本からは、今年からSHWG委員に選出された大西が参加しました。

公開審議においては、SHWGフェローからの研究紹介、SHWGの支援を受けている研究プロジェクトからの活動紹介、SHWG委員からの活動報告(有志)が行われました。SHWG支援の研究プロジェクトでは、米選出委員のLawrence Hamilton氏より1990年~2020年におけるアラスカの複数の市町村における人口動態の変遷についての報告が行われたほか、オランダ選出委員のAnnette Scheepstra氏からは同氏が長年関わってこられた先住民民族の研究観測への参画の取組、Olga Povoroznyuk氏からはウィーン大学における北極に関連する社会科学研究の紹介が行われました。また、韓国選出のHyonkyo Seo氏からは、韓国極地研究所が今後取り組もうとしている微生物リスク評価に関する取組についての報告がありました。

会合の様子

このほか、先住民の参画に関するIASC常設委員会との協力の進捗状況、第4回北極科学計画会議(ICARP IV)の進捗状況及び第5次国際極年(IPY: 2032-33)へと至る工程についての報告等が行われました。第5次IPYの計画プロセスにおいてICARP IVがどのようにインプットされていくのかについてオーディエンスから質問が出ましたが、報告者からは自身も得ている情報が少なく、まだ不確定要素が大きいとの回答がありました。

非公開審議においては、2024年のSHWG支援による研究プロジェクトの審査に大部分の時間が費やされました。また、Barbora Halašková氏の任期満了に伴う副議長の選出が行われ、ポーランド代表委員のMonika Szkarłat氏が新たに副議長として選任されました。

最後に簡単な所感を述べておきたいと思います。今回、筆者としては初めてのSHWG会合の参加でしたが、実際に現地参加することで本会合の基本的なプロトコールを理解できたことは収穫でした。また、委員に占める女性の割合の高さが印象的でした。SHWG支援の研究プロジェクトの審査では、クロスカッティング型(異分野横断型)の申請が多く、SHWGの主分野である人文社会科学分野の提案が少数でしたが、クロスカッティング型へSHWGとしてどこまで支援するべきかをめぐって様々な意見があり、難しい問題であると感じました。分野横断型研究の増加は近年の北極域研究の趨勢を反映していますが、自然科学研究が多いIASCの中でSHWGは本来人文社会科学分野の研究の促進を図ることも大切であり、限られた支援をどのように割り振るかは、SHWGの方針とも関わる重要なテーマです。多くの委員は、IASCにおいて人文社会科学分野の研究者の参画が全体として不十分であることでは考えが一致していました。これは、IASCの10年研究計画である現行のICARP IVのプロセスにおいても、作業部会としてSHWGがどのような建設的な役割を果たせるかについても今後より詰めていく必要があると感じました。今回の参加を通じての総括になりますが、自然科学と人文社会科学のそれぞれの存在意義があるはずであり、自然科学が優勢な現行のIASCにおいては、SHWGが北極域研究における人文社会科学の意義を他の作業部会にも分かりやすく説明して理解を得ていくという大きなミッションを抱えていると考えています。

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ASSW2024・IASC海洋学作業部会会合参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-06-10-1/ Mon, 10 Jun 2024 07:55:04 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=12255 報告者:菊地 隆(海洋研究開発機構/海洋課題) 川合 美千代(東京海洋大学/海洋課題) 2024年3月22日、エジンバラで開催されたASSW2024の期間中、IASC海洋作業部会(MWG)会合が開催されました。 オープン […]

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報告者:菊地 隆(海洋研究開発機構/海洋課題)
川合 美千代(東京海洋大学/海洋課題)

2024年3月22日、エジンバラで開催されたASSW2024の期間中、IASC海洋作業部会(MWG)会合が開催されました。

オープンセッションでは、MWGが支援する活動の進捗状況の報告や、MWGの新しいIASCフェローであるDaniela Walchさん(カナダ)の研究紹介が行われました。また、次回のASSW2025(米国コロラド州ボルダー)で発表されるICARP IV(第4回北極科学計画会議:The Fourth International Conference on Arctic Research Planning)との関連で、今後のMWG活動の戦略計画についても議論されました。MWGの戦略計画として、Marine Life, Sea Ice and Stratification, Disturbances, Biogeochemical Cycles, Connectivity and Borealizationの5つのテーマが挙げられ、これらについて今後も継続的に議論される予定です。

特筆すべきは、2023年MWGの活動に、海洋地球研究船「みらい」2023北極航海に参加する若手研究者の渡航支援が含まれていることです。本プログラムの共同提案者であるLee Cooper博士(米国)と菊地から、この若手研究者支援の概要が説明された後、ポルトガルの大学院生であるEva Lopesさんが「みらい」での乗船・観測体験について発表を行いました。多くのIASC MWGメンバーから、「みらい」北極航海に参加する海外の若手研究者からの研究提案募集を歓迎し、本プログラムの継続を望む声が上がりました。

クローズドセッションでは、オープンセッションで議論されたテーマのうちすでにワークショップが開催され草案が作成されているMarine Lifeを除いた4つ(Sea Ice and Stratification, Disturbances, Biogeochemical Cycles, Connectivity and Borealization)について、研究の優先順位を策定するためのオンライン会議を5月15日に開催することが決定されました。その後、IASC-FOX会合(6月上旬、英国)、MWGの戦略計画およびICARP IVへの貢献に関する会合(6月中旬、イタリア)が予定されています。また2024年予算に関する議論と決定も行われました。最後に、Heidi Kassensさん(独, 議長)、菊地(日本, 副議長)、Karen Freyさん(米, 副議長)に代わり、Anna Heiða Ólafsdóttirさん(アイスランド)が新たな議長に、Laura Ghigliottiさん(イタリア)とJinyoung Jungさん(韓国)が新たな副議長に選出されました。

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ASSW2024・IASC陸域作業部会会合参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-04-11-1/ Thu, 11 Apr 2024 09:02:19 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=11965 報告者:内田 雅己(国立極地研究所/陸域課題) 檜山 哲哉(名古屋大学/陸域課題) 2024年3月22日、英国のエジンバラ大学にて、IASC陸域作業部会の会合が開催されました。オンラインとオンサイトのハイブリッド開催で、 […]

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報告者:内田 雅己(国立極地研究所/陸域課題)
檜山 哲哉(名古屋大学/陸域課題)

2024年3月22日、英国のエジンバラ大学にて、IASC陸域作業部会の会合が開催されました。オンラインとオンサイトのハイブリッド開催で、オープンセッションの参加者は40名程度でした。

議事録と議事次第の確認が終了したのち、各国からの活動報告がありました。そのうちの米国と英国について紹介します。米国は、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)で重視されているビッグアイデアの一つであるNavigating the New Arctic(NNA)に対して 1億ドルを超える助成金を配分したそうです。NNAコミュニティオフィスは、研究者と北極コミュニティメンバー間の交流を促進するそうです。コロラド大学のマシュー・ドラッケンミラーが主導し、アラスカ大学フェアバンクス校とアラスカ・パシフィック大学がパートナーとして協力しています。また、北極観測ネットワークプログラムの最近のレビューが近日公開されるとのことでした。北極とタイガ(ボナンザ クリーク)の長期生態学研究サイトは継続されているとのことでした。エネルギー省(DOE)がリードしている北極における次世代生態系実験については、国際協力と多様な北極生態系における「モデルの実行」に焦点を当てたフェーズ IVを開始したそうです。英国は、植物の根および根に関係する微生物(菌根菌を含む根圏微生物)の研究を進めています。温暖化による根や根圏微生物の変化が土壌炭素蓄積量に与える影響の解明を目指しています。他には、グリーンランドの氷床融解が周辺湖沼の水温に与える影響に関する研究などが報告されました。また、日英北極研究助成金制度、英国とグリーンランドの北極奨学金制度や英国北極評議会作業部会における研究スキームに関する議論など、研究を促進する動きについても紹介されました。

次に、第4回北極科学計画会議(ICARP IV)や国際極年(IPY)を見据え、陸域作業部会で進めるべき研究内容についての議論が行われました。これまでの会合では、陸域作業部会として重要である研究課題をリストアップして提言するというやり方でしたが、今回は、陸域作業部会のメンバーが実質的に研究に参画することをイメージしました。そのため、作業部会のメンバーが行っている研究を紹介したのち、その情報から4つの研究項目を設定し、それぞれの項目について具体的な事項の洗い出しを行いました。会議では、各項目からどのような研究が重要なのかに関する発表までしか実施できなかったため、議論は今後も継続される見込みです。

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ASSW2024・IASC雪氷学作業部会会合参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-04-04-1/ Fri, 05 Apr 2024 02:22:53 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=11961 報告者:竹内 望(千葉大学/雪氷課題) 青木 輝夫(国立極地研究所/雪氷課題) 国際北極科学委員会(International Arctic Science Committee:IASC)の雪氷圏分科会(Cryosphe […]

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報告者:竹内 望(千葉大学/雪氷課題)
青木 輝夫(国立極地研究所/雪氷課題)

国際北極科学委員会(International Arctic Science Committee:IASC)の雪氷圏分科会(Cryosphere Working Group:CWG)が、ASSW2024(Arctic Science Summit Week 2024)開催期間中の2024年3月21日に開催されました。ASSW2024の会場は英国スコットランド・エジンバラで、Zoomによるオンラインとハイブリッドで開催されました。会合は、現地時間8:30から15:30までオープンセッション、同日現地時間16:00から18:00までクローズドセッションが行われ、約40名のメンバーが出席しました。

初めにCWGの座長(Shawn Marshall、カナダ)、若手フェローおよび各国のCWG代表の自己紹介が行われました。その後、各国の研究活動状況が報告され、各国ともにほぼ活発な北極での調査、観測活動が行われCOVID-19パンデミック前に戻れた印象でした。CWGの運営方法の議論の後、昨年からICARP IVに向けて改訂を目指しているCWGの科学研究目標(WG Foci)および活動計画(Working plan)についての議論も行いました。さまざまな意見が出ましたが、新しい科学研究目標として、雪氷圏の過去・現在・将来の状況と気候との関係、極端な雪氷現象、雪氷圏と生物圏の相互作用、雪氷圏の人間社会への影響の4つを検討しています。

クローズドセッションでは、CWG予算の状況と、事前に申請のあったCWG活動2件、WG間連携活動(XC)13件の予算配分の検討、決定を行いました。最後に、次期2年間のCWGの座長として英国のKelly Hogan氏を選任し、閉会となりました。

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ASSW2024・IASC大気作業部会会合参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-04-03-1/ Thu, 04 Apr 2024 02:14:52 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=11952 報告者:當房 豊(国立極地研究所/大気課題) 吉森 正和(東京大学/遠隔影響課題) 2024年3月22日に国際北極科学委員会(International Arctic Science Committee: IASC)大気 […]

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報告者:當房 豊(国立極地研究所/大気課題)
吉森 正和(東京大学/遠隔影響課題)

2024年3月22日に国際北極科学委員会(International Arctic Science Committee: IASC)大気作業部会(Atmosphere Working Group: AWG)の会合が、対面(ASSW会場であるスコットランド・エディンバラ)及びオンラインのハイブリッド形式で開催されました。日本からは、前半の公開セッションに當房 豊(国立極地研究所/AWGメンバー)、吉森 正和(東京大学大気海洋研究所/AWG メンバー)、猪上 淳(国立極地研究所)の3名、後半のAWGメンバーのみが参加可能な非公開セッションに當房と吉森の2名が現地参加しました。

公開セッションでは、AWGの議長である米国のGijs de Boerの進行で、参加者全員による自己紹介、AWGの議長による活動報告、2023年の若手フェロー(フランスのRémy Lapere)と2024年の若手フェロー(スイスのPatrik Winiger)の紹介などが行われました。続いて、2023-2024年のAWG関連の会合や研究プロジェクト(計12件)の報告が各PIからありました。それらのほとんどが北米と欧州のメンバーのみで構成されているものでしたが、スイスのJulia Schmaleによるグリーンランド南部で実施中のGreenFjordプロジェクトの報告では、日本のメンバー(當房他2名)が2023年夏のエアロゾル観測キャンペーンに参加したことなどが紹介されました。その後には、第4回北極研究計画国際会議(Fourth International Conference on Arctic Research Planning: ICARP IV)に関する紹介があり、AWGがICARP IVの準備プロセスにどう貢献すべきかの議論が行われました。その際、AWGの関係者でICARP IVのメンバーに入っている人がいるかどうかの確認がありましたが、日本のAWGメンバーの吉森が「Research Priority Team 1: The Role of the Arctic in the Global System」、當房が「Research Priority Team 7: Technology, Infrastructure, Logistics, and Services」のメンバーにそれぞれ選ばれていることを報告しました。

非公開セッションでは、新規でAWGに申請があった12件の会合や研究プロジェクトの提案(1件がAWGのみの提案、11件が他の作業部会とのクロスカッティングの提案)についての審査があり、各提案の採否や予算配分に関する議論がAWGメンバーによって行われました。AWGでは、年4回を目途に定期的な会合を開催してきていますが、次回の会合は2024年7月にオンラインで開催予定であることがアナウンスされました。

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Polar Symposium 2024参加報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/dispatch/2024-03-15-1/ Mon, 18 Mar 2024 00:43:13 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=dispatch&p=11886 報告者:榎本 浩之(国立極地研究所) 2024年2月22日、23日にモナコにて、アルベール2世財団と南極研究科学委員会(SCAR)、国際北極科学委員会(IASC)が共同で、極地変化に関する科学シンポジウム「北極から南極へ […]

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報告者:榎本 浩之(国立極地研究所)

2024年2月22日、23日にモナコにて、アルベール2世財団と南極研究科学委員会(SCAR)、国際北極科学委員会(IASC)が共同で、極地変化に関する科学シンポジウム「北極から南極へ」の第2回目のシンポジウムを開催しました。海洋研究や教育に力を注ぎ、自らも極地を含む世界各地の海に出かけたモナコ・アルベール1世の考えを継承したアルベール2世によるPolar Initiativeの趣旨によるものです。

シンポジウムは、南北両極に共通する現象をより理解し、それが地球全体に及ぼす影響を特定し、適切な対応を提案することを目指して開催されました。会場となった海洋博物館に、アルベール2世大公、アイスランド・グリムスン前大統領、SCARよりJefferson Cardia Simoes副代表他、IASCよりHenry Burgess議長ほか事務局メンバー、その他にはアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)、ノルウェー極地研究所(NPI)、英国南極調査所(BAS)やフランス、米国等からの極地研究関係者、WWF、NPOや、世界経済フォーラムWEF、Sami協議会、ジャーナリストなど120人ほどが参加しました。

会場の外観
会場の内観

アルベール2世大公は、開会の辞において、気候変動の前兆としての極地の重要性を強調され、国際的に共同で取り組むべき課題、若手育成、保全と経済活動についても述べられました。さらに、パネルディスカッション、ブレイクアウト・ディスカッションが行われました。

シンポジウムでは「今後10年間に向けた両極イニシアチブの開発とコラボレーション」「漁業、観光、鉱山などの人間活動の影響に関連した、極地における新たな課題に対する適応と緩和戦略」という、2つのテーマが掲げられました。

今後10年間にわたり、同期した国際的な取り組みの強化が訴えられ、国境を越えた協力を継続し発展させることの重要性や、極地研究の結果とその地球規模への影響に関する行動指向のコミュニケーションの促進といったことが提案、議論されました。これらは2032年の国際極年(IPY)、2025年の第4回北極科学計画会議(ICARP IV)につながる話題でもありました。

社会経済やツーリズムに関しては、南極と北極における関心や課題は異なります。北極圏におけるツーリズムは地域の文化の理解につながるものであり、地域の経済活動や訪れて接触を持つことの有効性が述べられました。先住民の文化や課題を理解するという観点があります。一方、南極グループの議論ではで、オーバーツーリズムとその防止に向けた教育やアウトリーチの必要性が話題に上がりました。

会議の様子

会議では、世界経済フォーラム(WEF)や北極経済評議会(AEC)の経済活動と極地への関与など、また複数の財団の研究や教育支援活動についても意見が交わされました。会議にはAssociation of Polar Early Career Scientists(APECS)から多数の若手研究者が招待されており、若手活動に関するフェローシッププログラムの授賞式も行われました。

The post Polar Symposium 2024参加報告 first appeared on ArCS II 北極域研究加速プロジェクト.

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