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資料11
南極条約体制

(1)南極条約の概要

1.1957年〜58年(昭和32年〜33年)の「国際地球観測年(IGY)」の間に南極において実施された国際的科学協力体制を維持、発展させるため1959年(昭和34年)、日、米、英、仏、ソ等12か国は南極条約を採択した。同条約は南緯60度以南の地域に適用されるもので、以下の点を主たる内容としている。

i  南極地域の平和的利用(軍事基地、軍事演習の実施等の禁止)。
ii  科学的調査の自由と国際協力の促進。
iii 南極地域における領土権主張の凍結。
iv  条約の遵守を確保するための監視員制度の設定。
v  南極地域に関する共通の利害関係のある事項について協議し、条約の原則及び目的を助長するための措置を立案する会合の開催。

2.南極における領土権問題
 現在、南極地域で実質的な科学的研究活動を行っている国の中には、従来から南極の一部に領土権を主張している7カ国(クレイマント。英、ノールウエー、仏、豪、NZ、チリ、アルゼンティン)と領土権を主張しないと同時に他国の主張も否認する国(ノン・クレイマント。米、ロシア、我が国、ベルギー、南ア等)があり対立している。また、ノン・クレイマントの中でも、米、ロは現状では領土権を主張しないが、過去の活動を特別の権益として留保している。南極条約においてはクレイマント、ノンクレイマント双方の立場が認められ、基本的立場の違いはあるものの、対立を表面化させずに共通の関心事項について対処するよう務めている。

(2)南極に関する我が国の基本的立場

 我が国は、1960年(昭和35年)8月4日に南極条約を批准し、以後、南極条約協議国の一員としての責務を果たしており、同条約発効(1961年(昭和36年))以前より実施している観測等科学的調査活動は国際的にも高い評価を受けている。
 我が国は南極を国際的な管理下に置くべきであるとの基本目標の下に、南極条約に基づく体制が将来とも存続することの重要性を認識し、同条約の目的及び原則を助長する措置の立案とその実施に今後とも積極的に協力していくことが重要との立場を維持している。

(3)南極条約協議国会議及び南極条約体制

1.南極条約締約国の中でも南極に基地を設けるなど、積極的に科学的調査を実施してきている国(27カ国)は、南極条約協議国と称され、南極条約に基づき定期的に会合を持ち、情報の交換、国際協力の促進などについての協議を行っている。この協議国による定期協議は南極条約協議国会議(以下「協議国会議」という。)と称され、同条約発効後これまでに26回の会合をもっている。
2.協議国会議ではこれまで200以上の勧告及び措置を採択してきた。これらの多くは南極の環境保護に関するもの、特別保護区域として南極の一定地域を保護するもの、又は南極観測に関する技術的な事柄を定めたもの等である。更に、特定問題に関し特別会合を開催し、「南極の海洋生物資源の保存に関する条約(CCAMLR)」、「南極あざらし保存条約(CCAS)」、「環境保護に関する南極条約議定書」等の条約を採択してきている。これら、南極条約体制下で採択された勧告・措置及び条約を総称して南極条約体制という。

(4)南極条約締約国(45か国)の内訳

原署名国(=協議国)(12か国)
アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、チリ、フランス、日本、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ、ロシア、英国、アメリカ

協議国(15か国)
ポーランド、オランダ、ドイツ、ブラジル、ブルガリア、ウルグアイ、イタリア、ペルー、スペイン、中国、インド、スウェーデン、フィンランド、大韓民国、エクアドル

その他(18カ国)
ウクライナ、チェコ、スロバキア、デンマーク、ルーマニア、パプア・ニューギニア、ハンガリー、キューバ、ギリシャ、朝鮮民主主義人民共和国、オーストリア、カナダ、コロンビア、スイス、グアテマラ、トルコ、ベネズエラ、エストニア

※現在、南極地域に越冬基地を設けている国は18カ国ある。

(外務省ホームページから引用)

 
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