この度、広島大学大学院生物圏科学研究科のソロモン諸島からの留学生、メリーさんが、ArCSのカナダ亜北極サルイット調査に同行させて頂きましたので、「南の島」の留学生による新鮮や印象や驚きなどを綴ってもらいます。和訳は私が頑張ります、どうぞ宜しくお願い致します〔広島大学 長沼毅〕。
モントリオールで「エアーイヌイット」機に乗り、ツンドラ地帯へと変化していく風景を眺めました。森がなくなり、低木や草と川と岩ばかりが広がる光景に、これがツンドラなのだと驚かされました。空路は途中で「バス停」のように何ヵ所かに寄りながら進み、9時間後にはサルイットに着くはずでした。が、途中で機体故障のため、代替機が来るのに4時間待ち、サルイットに着いたのは20時過ぎでした。しかし、それでもまだ昼のように明るかったのです。
飛行場で先発隊に車で迎えに来てもらい、サルイット・リサーチ・ステーションに運んでもらいました。先発隊は樋口正信先生(国立科学博物館/東京大学)と3人の若手研究者で、ツンドラの植生調査に来ていたのでした。私は地衣類のサンプリングに来たので、彼らの助けを期待できました。
私はこれまで、北半球であれ南半球であれ、こんなに高緯度(北緯62度)に来たことはなかったので、ここに来たこと自体がもうとてもシュールでした。サルイットの冷気を吸い、真夜中でも明るい山の端の景色を見て、初めて白夜を経験しました。
こんなセンショーショナルな初体験に興奮しつつも、明日からのサンプリングに備えて眠らなければと、温かいシャワーを浴びて頭を枕につけた瞬間、あっという間に眠りに落ちてしまいました。
メリー・サイロンガ・ファルアブル
(和訳:長沼 毅/広島大学(テーマ6研究協力者))
事務局注:メリー・サイロンガ・ファルアブルさんはArCSの参加研究者ではありませんが、
ArCSテーマ6の研究に必要な調査をしていただきましたので、調査の様子をご紹介いたします。