ArCS 北極域研究推進プロジェクト

若手研究者海外派遣

ArCS若手研究者海外派遣支援事業
中・長期派遣支援 2019年度募集要項

1. 事業趣旨

本事業は、ArCSプロジェクトの目的に鑑み、北極の諸問題に関する国際的な議論の場で活躍できる若手研究者および実務者の育成と、それを通じた国際連携の推進を目的として行うものです。この中・長期派遣支援は、我が国の優れた若手研究者を、北極に関する研究を行う海外の研究機関等へ派遣し、自らの専門性を深め、視野を広げるための研究または技術や知識の修得を行う活動を支援します。また、得られた知見を既存の北極関連コミュニティと共有し、我が国の産学官の北極研究ネットワークをより強固に発展させることを目的とします。

※北極域研究推進プロジェクト(ArCS)は、文部科学省の補助事業として、国立極地研究所、海洋研究開発機構及び北海道大学の3機関が中心となって、2015年9月から2020年3月までの約4年半にわたって実施する、我が国の北極域研究のナショナルフラッグシッププロジェクトです。幅広い観点から北極域の変化及び北極の変化が地球全体に与える影響について包括的・総合的に捉え、変化の原因やメカニズムを明らかにし、精緻な将来予測を行い、社会・経済的インパクトを明らかにし、これらの科学に基づく情報及び課題解決のための手法や選択肢を適切に内外のステークホルダーに伝えることを目的として実施する取り組みです。

2. 対象となる分野・取組みの例・渡航期間

(1)対象分野

北極に関する研究分野(自然科学系、人文社会科学系、工学・農学・医学等の実学系など)

(2)対象となる取組みの例

・2週間から1ヶ月程度の渡航により、ASSW等の北極研究に関する国際会議や北極研究に関するサマーコース等への参加と、渡航先の北極研究に関する研究機関等を訪問して議論や情報交換を行うなどの異なる研究活動を組み合わせた取組み。

・1-3ヶ月程度の渡航により、北極域のフィールド調査や、共同研究者のラボ等を訪問しデータ分析や議論を行うなどの取組み。

・数か月から1年間の渡航により、これまでとは異なるフィールドにおいて研究活動を行うことを目的として、新たな研究者グループと国際共同研究体制を立ち上げ、北極域の異なる地域での比較研究を行うなどの取組み。

(3)渡航期間

原則として2週間から1年程度。派遣開始が可能になる時期は募集期間によって異なるため、詳しくは「6. 申請手続き(2)募集期間」をご参照ください。

3. 派遣支援対象者と採用予定数

(1)支援対象者:申請時および派遣支援期間中に、以下の条件を全て満たす方を対象とします。

①身分(以下のいずれか)
・我が国の大学、学術研究機関等に所属する研究者
・我が国の大学等に所属する修士課程以上の大学院生
・我が国の企業および官公庁、NPO等に所属する実務者(フリーランスのジャーナリスト等個人事業主を含む)

②年齢
原則として40歳未満

③国籍
国籍は問わない

(2)採用予定数:数名程度

(3)その他留意事項

①申請者がArCS国際共同研究推進メニューの実施担当者もしくは研究協力者の場合
・ArCS国際共同研究推進メニューの実施担当者もしくは研究協力者も応募が可能ですが、申請内容によっては審査の際に優先順位が低くなる可能性があります。
●優先順位が低くなる申請内容の例
・ArCSの各テーマにおける実施内容に含まれるフィールド調査
・ArCSの各テーマにおける研究成果発表を目的とした会議参加

②申請者が過去に本事業で採択・派遣された場合
・過去に本事業で採択・派遣された方も再度応募が可能です。前回の研究内容との関連の有無は採否には影響しません。なお、機会均等の観点から、前回および今回の合計派遣期間によっては、審査の際に優先順位が低くなる可能性があります。

③語学の習得を主目的とする派遣は認められません。

4. 派遣先機関等

北極に関する研究を行う海外の大学や研究機関。申請者が応募に際してこれらの中から希望する派遣先機関を特定し、申請してください。なお、中・長期派遣支援では、国際会議やコース等への参加のみを目的とした申請は認められません。

5. 受入研究者

派遣先機関に所属し、責任を持って派遣対象者を受け入れる研究者とします。申請者が応募に際して受入研究者を特定し、申請時に受入研究者の略歴、業績概要等について提出するものとします(様式自由)。
なお、申請にあたっては、申請者本人より、研究計画も含めた受入れについて、受入研究者の内諾を取得しておいてください。

6. 申請手続き

(1)申請書類
次の①〜⑧の書類各1部を提出して下さい。なお、特定の雇用経費に基づく雇用者の場合は、専従義務を確認の上、ご応募下さい。

申請書(Word)
②学位取得証明書または大学院在籍証明書(学位を有する方または大学院に在籍する方のみ)
③在職証明書(様式自由)
 *該当する方のみ
④在留資格の記載がある書類(在留カード、外国人登録証明書など)のコピー
 *外国籍を有する方のみ
受入内諾書(Word)(派遣先機関の受入研究者の内諾が必要です)
⑥受入研究者の略歴、業績概要等(様式自由)
研究計画のロードマップ(Word)
予算計画書(Excel)

(2)申請期間

①第1回募集
 募集期間:2019年1月22日(火)~2019年2月28日(木)
 派遣開始時期:2019年4月下旬~2020年2月中旬
 ※原則として、2020年2月末までに帰国することが前提となります。

②第2回募集
 募集期間:2019年5月21日(火)~2019年6月27日(木)
 派遣開始時期:2019年9月上旬~2020年2月中旬
 ※原則として、2020年2月末までに帰国することが前提となります。

(3)申請方法

申請書類一式を、簡易書留等配送が確認できる方法で下記の提出先まで郵送して下さい。また、申請書類一式をpdfファイル化し(押印不要)、下記の提出先E-mailアドレスまでメール添付の上送付してください。なお、郵送、E-mailともに募集期間内必着とします。

〒001-0021 北海道札幌市北区北21条西11丁目
北海道大学北極域研究センター ArCS若手研究者海外派遣支援事業担当
E-mail:arc_capabil@arc.hokudai.ac.jp

※申請書は英語で作成して頂くことは差し支えありませんが、事務局とのメールや電話等による連絡は主に日本語で行われます。

7. 審査及び決定

提出された申請書の審査は、若手研究者派遣メニューのもとに設置される人材育成ワーキンググループが行い、当該審査結果を踏まえ、北海道大学が派遣支援対象者を決定します。審査結果は、募集期間終了から一ヶ月後を目処に、申請書記載の本人連絡先に書面にて通知します。
なお、審査の過程で、審査員から申請内容に対する質問や計画の改善要求があった場合、申請者に対して書面によるヒアリングを行い、回答を求めることがありますのでご留意ください。

8. 審査基準

審査は以下の基準に基づき行われますので、申請書作成の参考にしてください。

(1)必須事項(応募基準への適合)
  • 対象分野、身分、国籍、渡航期間等の条件を満たしているか
(2)評点審査

①研究計画の論理性、科学的意義・社会的意義

  • 研究の目的、計画はArCSの事業目的に沿ったものであり、論理的にわかりやすく書かれているか
  • 研究計画は科学的、社会的に意義のあるものか

②研究計画の実現可能性および研究計画と派遣内容(派遣先機関、滞在期間など)との整合性

  • 研究計画は具体的に書かれているか
  • 研究計画を実行するために派遣内容は適切か
  • 研究計画とロードマップ、予算計画書が整合しているか

③事前準備・コンタクトの状況・コミュニケーション能力

  • 研究経験に見合った準備力を有しているか
  • 現地で研究を進めるためのコミュニケーション能力は充分か(語学検定等の資格を有する場合は加点対象となります)

④これまでの業績

  • 研究を実施する実績、能力があるか
  • 研究経験に見合った実績を挙げているか

⑤総合評点

  • 申請書全体を通してやる気や熱意をくみ取った総合的な評点

本事業は、我が国の大学や研究機関等に所属する外国籍の研究者や留学生も対象としておりますが、外国籍の方の場合には、海外派遣する事によって、我が国の北極域研究の推進に貢献するものであることや当該者の一時帰国のための申請ではないなどの視点においても審査されます。

9. 派遣までの流れ

採択された後、受入先への派遣までの流れは以下の通りです。派遣支援対象者は、北海道大学ArCS若手研究者海外派遣支援事業担当からの連絡にしたがい、必要な手続きを進めてください。

(1)オリエンテーション

全ての派遣支援対象者に、テレビ会議や直接の面談により、本事業の狙いや審査員からの研究計画に対するコメント、ロジ(事務手続きの流れなど含む)に関する情報を提供するオリエンテーションを行います。

(2)派遣支援に係る事務手続き

派遣支援対象者に、派遣支援の手引きと共に、銀行口座登録などの様式が送付されます。手引きにしたがい、事務手続きを進めてください。

10. 支給経費

北海道大学の諸規程に基づき、下記費用を北海道大学が支給します。

(1)交通費 申請者の所属機関から派遣先機関までの間の往復交通費、その他研究計画に必要な交通費(エコノミークラス運賃相当)
(2)滞在費 北海道大学旅費規程に定める規定額を支給
(3)査証等取得費 査証等取得にかかる費用(実費相当)
(4)雑費 国際会議やサマーコース等の参加費や、スペースチャージ、その他研究計画に必要と認められる諸経費

※本支援事業経費では、ポスドク研究員等の派遣支援期間中の給与は補填しません。

11. 海外旅行傷害保険

派遣支援期間中は、北海道大学が用意する海外旅行傷害保険に加入していただきます。下記項目を含む基本的な保険料は北海道大学が負担します。

①障害・疾病死亡
②傷害後遺障害
③賠償責任
④治療・救援者費用

12. 個人情報の取り扱い等

申請書類に含まれる個人情報については、厳重に管理し、北海道大学及びArCSの業務遂行のみに利用します。提出された申請書は、審査終了後に事務局にて処分します。
なお、派遣支援が決定した場合は、氏名、所属機関、研究計画及び帰国後に提出していただく報告書が公表されます。

13. 派遣支援対象者の義務

(1)派遣支援期間中

派遣支援対象者は、申請書に記載した研究計画に基づき、研究に専念する義務があります。また、1ヶ月以上にわたって渡航する派遣支援対象者は、当該期間中、テレビ会議等により、人材育成ワーキンググループの担当者に、毎月研究計画の進捗状況を報告していただきます。

(2)派遣期間終了後

①報告書提出義務
派遣支援対象者は、派遣支援期間終了後2週間以内に、後日北海道大学が指定する所定の報告書を北海道大学およびArCS事務局に提出していただきます。提出された報告書はArCSのホームページ上で公開されます。
※参考:平成28年度採択者一覧

②成果発表義務
派遣支援対象者は、派遣支援期間終了後に、派遣による研究の成果をArCSが年に一度開催する成果発表会等において発表していただきます。なお、発表内容や形式については、中・長期派遣の派遣支援対象者に中心となって企画していただきます。
※成果発表会参加にかかる旅費は北海道大学が負担します。

③調査協力義務
派遣支援対象者は、派遣支援期間終了後に、北海道大学及びArCSが実施する北極域研究及び人材育成に関する調査に協力していただきます。

④情報交換コミュニティへの参加
ArCS若手海外派遣支援事業採択者で構成されるSNSコミュニティに参加していただきます。

14. 派遣支援対象者の遵守事項

派遣支援対象者は、派遣支援期間中及び派遣支援期間終了後、次に掲げる事項を遵守しなければなりません。

①派遣支援対象者の義務を遂行すること
②派遣期間中、本事業による支給経費と重複する他の資金援助を受けないこと
③研究活動における不正行為を行わないこと
④不正受給を行わないこと
⑤研究費の不正使用を行わないこと
⑥その他、公序良俗に反する行為を行わないこと

上記の遵守事項に違反、又は次に掲げる事項のいずれかに該当すると北海道大学が判断した場合には、さかのぼって本事業の採用の取り消し、経費の支給停止又は支給済の経費の返還請求を行うことがあります。なお、派遣支援決定後、遵守事項に関する誓約書を提出していただきます。

①病気等のために研究を継続できないことが明らかな場合
②研究の進捗状況に著しい問題があり、所期の目標を達成することが不可能又は著しく困難と判断される場合
③申請書類の記載事項に重大な虚偽が発見された場合
④申請・派遣支援資格を有していないことが明らかになった場合
⑤過去に、研究活動における不正行為、研究費の不正使用、公序良俗に反する行為を行ったことが明らかになった場合
⑥無断で一時帰国や派遣期間短縮等、計画の変更を行った場合
⑦その他、別に定める本事業の手引に記載されている条件に違反し、北海道大学の指示に従わなかった場合

15. その他

北極研究関連の学会情報を下記のウェブサイトで参照できます。研究計画を立てる際の参考としてください。

アラスカ大学フェアバンクス校に滞在する場合、ArCS国際連携拠点整備メニューがIARC内に確保しているオフィススペースを優先的に利用できます。利用についての詳細は「16. 問い合わせ先」宛てにお問い合わせください。なお、IARCの住所は次の通りです。

International Arctic Research Center
POBox 757340 University of Alaska Fairbanks
Fairbanks, Alaska 99775-7340 USA

16. 問い合わせ先

〒001-0021 北海道札幌市北区北21条西11丁目
北海道大学北極域研究センター ArCS若手研究者海外派遣支援事業担当
E-mail:arc_capabil@arc.hokudai.ac.jp