ArCS 北極域研究推進プロジェクト

国際共同研究推進

テーマ1
気象・海氷・波浪予測研究と北極航路支援情報の統合

2019年10月中旬の結氷期に海氷域で観測する「みらい」 提供:猪上 淳(国立極地研究所)

北極域の気象・海氷・海洋の予測精度向上に向け、世界気象機関(WMO)の極域予測プロジェクト(PPP)の枠組みのもと、(1)持続可能な北極観測網の構築を目指した国際集中観測とデータ同化を用いた観測システム実験、(2)各国の現業気象予報機関の気象・海氷予報データを利用した北極変動を起因とする極端気象の予測可能性研究、(3)北極海航路上の海氷予測と最適航路探索・波浪予測手法の開発を軸とした観測的・数値的研究を推進するとともに、海洋地球研究船「みらい」を用いた高層気象観測、波浪ブイ観測、地球シミュレータ等を用いたデータ同化・予測実験等から観測データの影響評価を行いました。

これにより、北極域の観測データは数日程度の精緻な気象・波浪・海氷予測に極めて有効であること、中緯度の気象現象の予測にも効果があることなどの成果を得ました。また、現業気象予報機関の気象・海氷予報における初期値・予報値の最適な組み合わせを検討し、高空間分解能の海氷‐海洋結合モデルIcePOMの開発・精緻化を図り、北極海航路上の10日程度先の海氷予測を行う基盤モデルの目処をつけました。さらに、こうした現業気象予報機関の気象・海氷予報データやIcePOMによる海氷予測結果をテーマ8の協力のもと、システム上で統合し、船上で利用しやすい予測情報として提供する仕組みを整え、プロジェクト後半の「みらい」航海で実際に利用することにより、これらの予測情報が北極海を航行する船舶の安全と活動の両立に役立つことを実証しました。

「みらい」船内ウェブサイトから「VENUS」にリンクを張り、乗船者のアクセスを可能としている。表示は海氷密接度、海面水温、海面気圧の10日先予報と船の位置情報。

今後は、観測の強化とそれに付随する環境負荷や観測資源の確保・運用などの諸問題とのバランスを考慮しながら、社会のニーズに応えることができるような、持続性のある観測体制の構築を目指します。

2018年度「みらい」北極航海において発生した大規模な船体着氷 提供:伏見 修一(東京大学)

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