2025年9月25日
極地研の高橋邦夫准教授らが執筆した一般向けの書籍「クリオネのはなし-世界で初めてのクリオネ専門書-」が出版されました。
「クリオネのはなし-世界で初めてのクリオネ専門書-」
高橋邦夫・桑原尚司・國本未華・山崎友資 共著
ISBN:978-4-425-95701-9
発売日:2025年8月28日
冬季、流氷とともに北海道オホーツク海沿岸海域に出現するクリオネは、貝殻をもたない巻貝のなかまです。翼足と呼ばれる羽のように進化した腹足を使って羽ばたくように泳ぎ、その愛くるしさから氷の海の妖精、天使と呼ばれ人気が高い動物プランクトンです。
2000年代初め、人為起源の二酸化炭素を起因とした地球規模環境問題である「海洋酸性化」が提唱され、炭酸カルシウムの外骨格を持つ海洋生物の生残が脅かされ始めてより、クリオネが属する翼足類は地球科学、および海洋生物学者の間で注目を集めることになりました。
2017年には本属の新種も発見されました。クリオネの研究史を辿ると、最後の新種記載は1世紀前であり、まさに100年以上も止まっていた「クリオネ研究」という針が、近年、急激に動き出したのです。
本書は、今世紀に入ってから学術分野でも注目されるに至ったクリオネの研究史から近年の最新研究成果までを総括し、クリオネの生態や調査方法をはじめ、人気者として様々な日常シーンに登場してきたクリオネの魅力を余すことなく紹介します。
これまでに存在しなかった、いわゆる「クリオネの教科書」です。(高橋邦夫)
第1章 クリオネという生き物 高橋邦夫
第2章 クリオネの生態 高橋邦夫
第3章 地球環境とクリオネ 山崎友資
第4章 オホーツク海沿岸はクリオネのホットスポット 山崎友資
第5章 クリオネの採集と調査方法 桑原尚司
第6章 日本人に愛されるクリオネ 國本未華
第7章 クリオネに出会うには 高橋邦夫
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