特別共同研究

特別共同研究とは、日本国内の南北両極域に関わる極域科学の研究促進を目的とするもので特に、両極域に跨がる国内での研究を推進します。特別共同研究で使用することのできる極地研の施設、設備及びデータ・資試料の利用、および上限100万円までの予算措置が可能です。また、今後の極域科学を進める上で必要な研究集会等の開催も可能です。特別共同研究の課題は、所外委員を含む特別共同研究委員会で審査され、採否および経費配分額等が決定されます。

国立極地研究所 2025年度
特別共同研究 募集要項

1. 趣旨

国立極地研究所(以下「極地研」)は、極域を含む地球温暖化研究の国際ハブとして「国際極域・地球環境研究推進センター」(「International Polar and Earth Environmental Research Center、以下「IPERC」)を2023年度から設置しました。極地研はIPERCを実施主体とし、極域を中心とした統合的地球観測の推進と共同研究・共同利用体制の強化のため、過去・現在・未来の極域・地球環境変化に関する統合的・先進的な共同研究と共同利用を推進する特別共同研究(Special Collaboration Project)を以下のとおり公募します。特に、分野としては全球の気候変動・環境変動の解明に貢献し得る両極域での研究、手法としては現場観測によって得られたデータ・資試料等の分析や衛星データ・数値モデルとの比較研究など、に関連する特別共同研究の応募を求めます。

2. 募集する特別共同研究の概要

1)IPERCが掲げる次の3つの目標区分に貢献する特別共同研究を募集します。貢献する目標区分が複数あっても構いません。複数ある場合は、目標区分の比重を%として申請書に示して下さい。

目標区分 特別共同研究募集の概要と期待される成果 想定される申請内容の例
①研究推進 統合的な地球温暖化研究を中心課題として推進し、気候変動・環境変動のプロセス解明や実態把握・影響評価に飛躍的な進展が期待できる特別共同研究 a)新たな研究の立ち上げ、大型研究費獲得のためのスタートアップ的研究および研究集会
b)既存研究の成果取りまとめのための研究及び研究集会
c)既存研究の研究に追加することによりさらなる進展が期待できる研究
②コミュニティ支援 国際共同研究の推進をはじめ、若手研究者(40歳未満*)や学生への観測機会の提供・拡大など、次世代の人材育成を含めた極域研究コミュニティへの支援の拡大・強化が期待できる特別共同研究(研究集会の開催も含む) a)新たな研究の立ち上げ、大型研究費獲得のためのスタートアップ的研究および研究集会
b)既存研究の成果取りまとめのための研究及び研究集会
③極域統合データ解析 南極・北極をはじめ全球の地上観測・地球観測衛星データ、モデリングデータ等を整備することにより、気候・環境変動のプロセス解明や実態把握・影響評価に関する研究成果の創出に貢献する特別共同研究 多くの研究者が使えるデータセットの整備等

*若手研究者(40歳未満) は応募締切時点(2024年10月31日)を基準とします。

2)研究分野

両極域に関するすべての研究分野

3)カテゴリー

特別共同研究は、以下の表1のカテゴリーごとに募集します。採択件数については目安であり、予算状況によって変動します。

表1. カテゴリー
カテゴリー 概要 研究期間 採択件数
両極域 両極域に関する課題を対象とする。 1〜3年間 3件程度
北極域 北極域に関する課題を対象とする。但し、今後両極域での研究につながるものを対象とする。 1年間 4件程度
南極域 南極域に関する課題を対象とする。但し、今後両極域での研究につながるものを対象とする。 1年間 4件程度
4)研究経費

1課題あたり上限100万円/年度

5)応募資格および研究組織
  1. ①研究者の区分とそれぞれの条件、役割は表2のとおりです。
    ②研究組織は、1名の共同研究代表者、1名以上の共同研究分担者および1名の受入責任教員を含めて構成してください。
    ③受入責任教員は、極地研の常勤教員とします。「研究者一覧」を参照してください。
  2. ④極地研の受入責任教員は、共同研究代表者を兼ねることができます。
    ⑤クロスアポイントメント等で所属機関が複数ある場合は、申請書に明記してください。
表2. 研究組織(条件欄に記載の職名は応募締切時点2024年10月31日としてください)
研究者区分 条件 役割 承諾書
共同研究代表者 ・日本国内の大学・研究機関等に所属する研究者又はこれらに準ずる研究者(大学院学生および学部学生は除く) ・特別共同研究の申請
・研究組織の統括
・研究成果のとりまとめおよび報告
必要
共同研究分担者 ・大学・研究機関等に所属する研究者又はこれらに準ずる研究者(日本国内、海外を問わない。大学院学生および学部学生は除く) ・共同研究代表者とともに研究を主体的に実施する 不要
共同研究協力者 ・大学・研究機関等に所属する研究者又はこれらに準ずる研究者、観測支援者、技術者(日本国内、海外を問わない)
・大学院学生は参画可能。
・学部学生の参画は認められない
※大学院学生が共同研究協力者として参画する場合には、当該学生の指導教員が当該研究の共同研究代表者又は共同研究分担者であることを要します。
・研究の遂行にあたって協力を行う 不要
受入責任教員 研究内容、研究計画及び経費について、研究の推進及び取りまとめを行う極地研の受入責任教員 ・共同研究代表者とともに研究を主体的に実施する 不要
6)応募・参加等に関する制限
  1. ①同一の申請者が共同研究代表者として応募できるのは、目標区分、カテゴリーに関わらず1件とします。同一年度に複数の課題の共同研究代表者になる事はできません。
    ②共同研究分担者、共同研究協力者として参加する場合には、件数の制限はありません。
    ③共同研究代表者の異動などにより、条件に合致しなくなった場合はIPERC特別共同研究事務局に連絡するとともに、共同研究代表者を交代するか、研究課題を取りやめてください。
    ④共同研究分担者および共同研究協力者に変更があった場合は、年度末に作成する報告書に変更後の研究組織を記載してください。
7)研究期間

・両極域カテゴリー
 2025年4月1日~2028年3月31日(2025年度開始、2025~2027年度の1〜3年間)

・北極域、南極域カテゴリー
 2025年4月1日~2026年3月31日(2025年度)

<補足>

  1. 2年以上継続して行う研究課題については、次年度への継続の可否について毎年度審査を行いますので、「特別共同研究実施報告書兼継続申請書」を提出期限(2月末予定)までに「電子申請システム」から申請してください。この申請書は前年度の報告書であるとともに、次年度への申請書となります。継続審査の結果によっては、中止、または次年度の研究経費が当初応募時の申請額から減額される場合があります。
  2. 共同研究代表者は、最終年度に「特別共同研究実施報告書」を「電子申請システム」から提出してください。
8)研究経費

研究の遂行上直接的に必要な下記費目の経費として使用可能です。

  1. 物品費:設備備品費、消耗品費
  2. 謝金:謝金等
  3. 旅費:旅費(国内、外国)(研究集会開催費用を含む)
  4. その他:外注費、印刷製本費、会議費、通信運搬費、その他(諸経費)

<補足>

・経費の執行は、国立極地研究所の諸規則に基づき、国立極地研究所の受入責任教員が所属する研究グループで行います。
・経費執行に関する詳細は採択決定後、別途通知します。
・少額及び固定資産は国立極地研究所に帰属します。
・人件費・謝金等は条件によって使用可となります(但し、雇用主は国立極地研究所)。
・経費の支出は、研究組織に属している者のみに認められます。

3.応募手続き

1)応募書類
2)応募締切

2024年10月31日(木)正午 必着

3)応募方法

様式1および2を整え、それぞれPDF化した上で、共同研究代表者が「電子申請システム」から申請してください。

<補足>

  1. 応募書類は、必ず日本語で記入し申請してください。
  2. 研究課題及び研究経費については、極地研の受入責任教員等と事前に協議の上、「特別共同研究申請書」を所属長の承認を得て、申請してください。(「公印省略」可)
  3. 共同研究代表者は、共同研究分担者から応募する研究課題へ参画することの承諾を得るとともに、共同研究代表者の所属長の承諾を得た上で、「特別共同研究承諾書(様式2)」を申請してください。(「公印省略」可)
  4. 研究期間が複数年の研究課題については、研究期間中の各年度終わりに次年度への継続申請が必要となります。「特別共同研究実施報告書兼継続申請書」を提出期限(2月末予定)までに「電子申請システム」から申請してください。この申請書は前年度の報告書であるとともに、次年度への申請書となります。

4.審査および採択

1)審査主体

国立極地研究所運営会議共同利用審議委員会 特別共同研究分科会が審査を行います。

2)審査方法

別に定める審査要項に基づき、審査を行います。

<審査の基本的な流れ>

  1. 一次審査(書面)
    提出された応募書類に基づき、書面審査を行います。審査の過程において必要に応じて共同研究代表者に質問をする事があります。また、必要に応じて専門家による査読を実施する場合があります。
  2. ヒアリング
    一次審査を通過した応募の中で、複数年にわたる研究課題については、基本的には、面接(オンライン又は対面)を実施します。
  3. 二次審査(合議)
    一次審査結果およびヒアリングにより得られた回答に基づき、合議の上、最終的な採否を決定します。審査結果によっては、研究経費が申請額よりも減額される場合があります。

<審査の観点>

  1. 研究目的
    ・募集の趣旨及び概要(目標区分)に沿っているか。
    ・それぞれのカテゴリー(両極域、北極域、南極域)に関する最近の国際的な動向や喫緊の課題を正確に把握した上で、明確かつ具体的な目的となっているか。
    ・研究課題の実施によって目標区分へどのように貢献するか。
    ・【南極域、北極域カテゴリー】については、今後の両極域研究につながる目的設定になっているか。
  2. 研究計画
    ・研究組織が、目的を達成するために必要な研究者が配置されたものとなっているか。
    ・研究経費が、目的を達成するために必要かつ適正なものとなっているか。
    ・実施計画が、目的を達成するために十分に検討されたものとなっているか。
  3. 期待される成果
    ・期待される成果が、募集の趣旨及び概要(目標区分)に沿っているか。
    ・期待される成果が、現実的に達成可能なものとなっているか。

上記の研究目的、研究計画および期待される成果のそれぞれで評点をつけ、総合評価を実施する。

3)採否通知

すべての応募について、申請書に記載の共同研究代表者のEメールアドレス宛に、審査完了を通知します。「電子申請システム」から採否結果をご確認ください。

5.研究課題開始までのスケジュール

2024年9月2日
募集開始
2024年10月31日
応募締切
2024年11月15日
一次審査開始
2025年1月10日
一次審査終了
2025年1月下旬~2月上旬
ヒアリング
2025年1月下旬~2月上旬
二次審査
2025年3月中旬
申請書最終版(計画の変更が必要な場合のみ)提出
2025年3月下旬
採否通知 ※以降は採択された研究課題のみに関係
2025年4月1日
研究課題開始
2025年4月上旬
研究経費配分

(採択された研究課題の共同研究代表者の所属・職名・Eメールアドレスに変更があった場合は、速やかにIPERC特別共同研究事務局に報告してください。)

6.成果等の取り扱いおよび報告

1)研究成果、データ等の取り扱い

採択された研究課題の実施によって得られた研究成果やデータ等に関しては、極地研が定めるルールに従って取り扱われます。

<概要>

データの取り扱い
・『大学共同利用機関法人 国立極地研究所 データ・試資料の取り扱いに関する基本方針』およびこれに基づく各種取扱要項に従っていただきます。
・取得されたデータの価値を最大限に高めるために、すみやかなデータの公開に努めることが求められます。

2)特別共同研究実施報告書

研究課題の研究成果等を記載した「特別共同研究実施報告書」を、最終年度の末日までに提出してください。ホームページ上で公開されます。

3)成果発表

採択された研究課題の実施においては、次に挙げる成果発表がもとめられます。

研究課題に関する論文・書籍の発表、プレスリリース、受賞、データ公開等を行った場合、産業財産権の出願予定がある場合は、研究課題の継続中は、速やかにIPERC特別共同研究事務局に連絡してください。研究課題終了後も研究課題に関する論文・書籍の発表などを行った場合は、同じくIPERC特別共同研究事務局に連絡してください。
また、研究課題に関する論文等には以下を参考に謝辞を必ず記載してください。
論文等への謝辞の記載について(PDF)

7.知的財産権の帰属

研究課題の実施に伴い生じた知的財産権については、原則として極地研と共有とし、貢献度に応じて持分を定めます。詳細は、特許等の出願(外国に対する出願を含む)に先立って共同出願契約にて取決めを行います。

8. 個人情報の取り扱い等

応募書類に含まれる個人情報については、厳重に管理し、法令等により提出を求められた場合を除き、下記の目的以外で利用することはありません。

  1. 応募書類に基づく特別共同研究分科会による審査および採否通知
  2. 研究課題が採択された場合、当該研究課題名、共同研究代表者の所属・職名・氏名の国立極地研究所ウェブサイトおよび広報誌等刊行物での公表
  3. 旅費等支給関係事務

9. 共同研究契約締結に係る安全保障輸出管理について

当研究所では、規定に基づき安全保障輸出管理を行っております。(詳細は当機構の該当ページをご覧ください。)輸出管理徹底のため、輸出規制品目に含まれる物品の梱包作業を行う際には事務職員が立会、輸出物品の確認を行うこととしています。つきましては、特別共同研究に係る輸出規制品目に含まれる物品を輸出する際には、総務企画課研究推進係までご連絡をお願いします。
また、海外の研究者が研究集会等へ参加する場合「安全保障輸出管理」の手続きが必要となりますので、同じく、総務企画課研究推進係までご連絡をお願いします。

10. 問い合わせ先

1)電子申請システムについて

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
国立極地研究所 管理部総務企画課 研究推進係
電話 042-512-0919 / E-mail kenkyu@nipr.ac.jp

2)安全保障輸出管理について

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
国立極地研究所 管理部総務企画課 研究推進係
電話 042-512-0919 / E-mail kenkyu@nipr.ac.jp

3) 申請について

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
国立極地研究所 国際極域・地球環境研究推進センター IPERC特別共同研究事務局
電話 042-512-0711 / E-mail iperc_ccrp@nipr.ac.jp
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3

過去の実施一覧
申請書書式

以下よりダウンロードください。