茨城大・岡田誠教授、極地研・菅沼悠介准教授が文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞
千葉複合セクションの地磁気逆転の研究業績を評価

2023年4月7日

茨城大学理工学研究科(理学野)の岡田 誠 教授・理学部長と、国立極地研究所先端研究推進系の菅沼 悠介 准教授が、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門を受賞することが決まりました。表彰式は4月19日(水)に会場・オンライン配信のハイブリッド方式で行われる予定です。

今回の受賞は、地球電磁気・地球惑星圏学会から文部科学省への推薦を受け、「上総層群における松山-ブリュン地磁気逆転の系統的研究」についての業績が評価されたことによるものです。

地層に記録された地磁気逆転の年代値の算出にあたって、従来の技術においては、磁化獲得深度の影響によって実際より年代が古く算出されている可能性があること、また、逆転付近の放射年代の測定に多く用いられていたアルゴン-アルゴン(Ar/Ar)法は標準試料の年代値に左右されるという問題がありました。

両氏の研究では、磁化獲得深度による影響を最小化するため、1000年で約2メートルという極めて速い堆積速度をもつ千葉複合セクションの地層を用いた上、新たに開発した消磁法により地磁気逆転の復元を試みました。また、逆転境界付近の火山灰層に含まれるジルコン粒子を用いて、ウラン-鉛(U-Pb)法による年代測定を行いました。その結果、詳細な松山-ブリュン地磁気逆転記録が得られ、その年代が従前の公式年代であった78万1000年前より約1万年新しい77万3000年前であることが明らかになりました。

この成果を踏まえた千葉複合セクションの地層における世界最高解像度の地磁気逆転記録が決め手となり、2020年1月、同地層がGSSP(国際境界模式層断面とポイント)に認定され、日本の地名にちなんだ地質年代「チバニアン」の誕生へとつながりました。

岡田氏は1965年生まれ。1987年静岡大学理学部卒業、1992年東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了。1993年に茨城大学理学部に助手として着任。2015年に教授、2022年より理学部長。専門は古地磁気学、古海洋学、野外地質学。千葉セクションのGSSP提案チームでは代表を務めました。

菅沼氏は1977年生まれ。2000年茨城大学理学部卒業、2005年東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了。産業技術総合研究所ポスドク研究員、東京大学大学院理学系研究科特任助教、国立極地研究所助教などを経て、2016年より国立極地研究所准教授。専門運は地質学、古地磁気学。千葉セクションのGSSP提案チームでは、申請の論文執筆責任者を務めました。

2020年1月に千葉セクションがGSSP認定された直後の記者説明会での写真
左から5番目が茨城大の岡田誠教授、7番目が極地研の菅沼悠介准教授

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