2024年5月10日
国立極地研究所 アイスコア研究センターの東久美子特任教授が「2024年度日本雪氷学会賞(功績賞)」を受賞しました。功績賞は、日本雪氷学会の運営発展、あるいは雪氷学の発展に、著しい貢献をした個人を表彰するもので、受賞件名は「アイスコアを用いた極地雪氷研究の発展と国際連携および学会運営に果たした多大な貢献」です。
2024年9月に開催の雪氷研究大会(2024・長岡)にて、授賞式と受賞記念講演会の開催を予定しています。
東久美子氏は、南北両極のアイスコアを用いて地球規模の古環境復元と物質循環の研究を推進し、雪氷学の発展に大きな貢献を果たしてきた。北極域では、スバールバル諸島、グリーンランドなどで国際共同プロジェクトに参加。 また、カナダのローガン山では自らアイスコア掘削プロジェクトを主導し、アイスコア中の化学成分や、北極の温暖化促進に影響するプラックカーポンに関する研究等で成果を挙げている。南極域では、日本のドームふじ深層コアの研究を推進し、気候と南極海の硫黄循環との結合に新たな知見をもたらす研究をおこなっている。また、アイスコアの連続融解分析の手法開発にも力を入れ、化学主成分やメタンガスなどの解析を高速化、高度化することに成功している。さらに国立極地研究所のアイスコア研究センターの設立に尽力し、センター長として共同研究を推進し、雪氷学のみならず気候学や環境科学の発展に大きな貢献を果たした。
さらに、東氏は雪氷分野に関連した国際的組織やプログラムに積極的に関与してきた。国際雪氷学会(IGS)の各種委員、理事、副会長(2008-2011)、国際測地学・地球物理学連合(IUGG)国際雪氷圏科学協会(IACS)の副会長(2007-2011)の他、アイスコア研究の国際組織(IPICS)や東グリーンランド氷床コアプロジェクト(EGRIP)の運営委員を務めるなど、我が国の雪氷分野を代表して国際連携に大きな役割を果たした。また、雪氷学会の活動にも大きく貢献しており、分科会活動では雪氷学会では雪氷化学分科会および極地雪氷分科会の会長や幹事などを務めた他、学術委員や編集委員、研究発表大会のプログラム委員などを担当した。
このように東久美子氏は、長年にわたり極地雪氷研究の発展と国際連携、および学会活動に貢献しており、功績賞に値する。
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