2025年2月4日
国立極地研究所は、北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)の一環として、2024年度に北極のイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を開催します。本イベントシリーズの最後に北極の海氷予測に関するサイエンストークを実施します。事前申し込みの上、ぜひご参加ください。
地球温暖化が進行する中、特に北極地域での気温の上昇が著しくなっています。その結果、北極の夏期の海氷面積が減少し、北極航路の利用や北極海の環境変化が注目されています。
北極海氷情報室では、北極航路の活用や北極海観測に役立つ海氷中期予報や短期予報を、北極を航行する船舶や海洋地球研究船「みらい」に提供し、その有効性を検証してきました。
サイエンストークでは、予測の最新情報や海洋・海氷の変化とその影響を紹介します。海氷予測や温暖化の現状を一緒に考えてみましょう。
日時:2025年3月22日(土)14:00〜15:30
内容:北極海氷予報の最前線
講師:矢吹 裕伯、大山 元夢、丹羽 淑博、小野 純(国立極地研究所)
会場:談話室サザンクロス(国立極地研究所 南極・北極科学館隣り)
対象:高校生以上
定員:先着40名(事前申し込み制)
参加料:無料
主催:国立極地研究所
申込:2025年2月4日(火)12:00より、参加申込フォームにてお申し込み受け付けを開始します
矢吹 裕伯
(やぶき・ひろのり)
私の専門は情報学です。しかし、そもそもの専門は寒冷地において、地球温暖化の現状を観測的に研究することです。特に、中国のチベット高原や、ロシアのシベリア地域、モンゴルなどの永久凍土地帯で、地温や水循環の変動を解明していました。現在は、このような広域での観測データを管理するデータセンタと北極海氷情報室を運営しています。本サイエンストークでは北極海氷情報室の役割と海氷予報の意義を話します。
大山 元夢
(おおやま・もとむ)
私の専門は流体工学です。修士課程まで北極域を航行する船体回りの水の流れなどをシミュレーションするための手法について研究していました。現在も博士課程で大学に所属しており、極域において船舶からの油が流出した際、海氷のある海をどのように広がりどこへ流れていくのか研究しています。国立極地研究所では特任技術専門員として北極海氷情報室の北極海氷中期予報(数か月予報)の情報発信と精度向上に努めています。本サイエンストークでは人工衛星と統計的手法に基づいた海氷中期予測の社会への応用、北極海氷情報室が発信してきた予測とその手法、課題について解説します。
丹羽 淑博
(にわ・よしひろ)
私の専門は海洋物理学です。極地研では北極海の海氷の短期予測に取り組んでいます。また、海洋教育の普及促進活動にも関わっており、海洋現象を理解するための教材・カリキュラム開発も行っています。本サイエンストークでは、北極海の海氷を数値シミュレーションでどのように予測するのかを解説します。そして、実際にインターネットで公開されている北極海の海氷予測の結果を皆さんと確認し、その成果と課題を議論したいと思います。
小野 純
(おの・じゅん)
私の専門は極域海洋学です。これまでは主に数値モデルを使って北極の海氷や気候変動に関する研究を行なってきました。また、北極海氷域面積が史上最小を記録した2012年には北極海の観測航海に参加し、変わりゆく北極海を実感しました。人工衛星の観測からは北極だけでなく南極でも海氷が減少していることがわかっており、今後の海氷や気候変動への影響が注目されています。本サイエンストークでは、北極海氷情報室が新たに取り組む海氷中期(季節から数年)予測について、これまでの研究成果を交えながらお話しします。また、地球温暖化が進行すると将来の海氷がどうなりそうかについても紹介する予定です。
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