Arctic Environment Research Center

特別セミナー「北極海航路の利用実現に向けて」を開催しました

平成26年11月17日、東京海洋大学品川キャンパス楽水会館においてGRENE北極気候変動研究事業の研究課題『北極海航路の利用可能性評価につながる海氷分布の将来予測』(研究代表者:島田浩二氏/東京海洋大学)を構成する研究サブ課題「北極航路利用のための海氷予測および航行支援システムの構築」(研究サブ代表者:山口一/東京大学)のメンバーを中心に、これまでの北極海航路研究の研究成果に関する報告の公開セミナーを開催しました。

本セミナーには研究者や学生の他、海運、造船、通信、保険、総合商社や建設といった北極海航路ビジネスの可能性を検討する民間企業、中央官庁から地方自治体、マスコミ各社にいたる幅広い参加者約150名にお集まりいただきました。

冒頭の白石所長の挨拶に始まり、第Ⅰ部では本セミナーを主宰した山口一氏と大塚夏彦氏(北日本港湾コンサルタント)により本プロジェクトの紹介や北極海航路で何が起きているのか、利用状況や経済性、展望などの紹介がありました。それに続いて第Ⅱ部と第Ⅲ部では海氷分布予測や船体へ及ぶ荷重等の研究がどのような段階まで来ているのか、航行支援は実際にどこまで行われているのか等について研究者による最新の研究成果の発表が行われました。

セミナーの最後は、島田氏の司会のもと、海外の資源開発の状況に詳しい本村眞澄氏(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)と氷海での海難について大貫伸氏(社団法人 日本海難防止協会)からお話を伺ったあと、山口氏と大塚氏を加えて会場からの質問を受けながら総合討論が行われました。

日本の北極海航路研究のエキスパートたちによる研究成果報告を受けて、参加された方々が熱心に筆をとっている姿に、北極海航路利用に対する社会の関心の高さが伺えました。

また、休憩時にはロビーでポスターセッションや北極域データアーカイブシステム(ADS)のデモンストレーションが行われ、北極気候変動に関する他の研究紹介も行われました。

北極海航路の利用研究は世界経済や国際社会情勢とも深いかかわりがあることから、研究成果を産業界へ積極的に情報発信をしていく重要性と必要性、そして将来の利活用を見据えた研究の在り方が期待されていることを認識し、閉幕しました。


第Ⅰ部での大塚氏の講演の様子


総合討論。
左から司会の島田氏、本村氏、山口氏、大塚氏、大貫氏


ポスターセッション

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 北極観測センター
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3 (交通アクセス) / E-mail:aerc-kikaku@nipr.ac.jp