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ニーオルスン基地

国立極地研究所は、1991年にスバールバル諸島ニーオルスン(Ny-Ålesund)に恒久的な北極観測拠点としてニーオルスン基地を開設し、国内外の研究機関と協力しながら北極圏の自然環境に関する様々な分野の研究を進めてきました。その後、建物の老朽化に伴い、2019年に新しい観測施設Kings Bay Veksthus(以下の写真)に移転しました。ここではニーオルスンの概要と共に、基地の利用申込手続き等について紹介します。

ニーオルスン

ニーオルスンは、ノルウェー本土と北極点との間に位置するスバールバル諸島スピッツベルゲン島にあります。島の中心地であるロングイヤービンまでは、ノルウェー本土から定期航空便が運航されています。ロングイヤービンからは、チャーター便に搭乗してニーオルスンへ向かいます。

ニーオルスンは、北緯78度55分、東経11度56分に位置し、白夜や極夜の期間が約4か月間あります。最寒月は3月で平均気温は-15.3°C。最暖月の7月は平均気温が+4.1°Cです。(※気象データはNorwegian Meteorological Instituteの1990年〜2022年の観測データによる)

ニーオルスンはノルウェーが管理する国際観測村で、Kings Bay AS(キングスベイ社)が各観測施設を管理運営しており、施設内では上下水道、電気、インターネットの利用が可能です。

日本の基地(Ny-Ålesund NIPR Observatory)

日本の基地は、2019年3月に竣工した新しい観測施設Kings Bay Veksthus内にあり、ニーオルスンの中心部に位置します。国立極地研究所が借り受けている専有スペースとして、居室(洗面台、トイレ、シャワー付)6室、観測室、ドライラボ(小)、機材室、倉庫などがあるほか、共有のミーティングルーム/リビングルーム(キッチン付)、ランドリールーム、トイレ、観測デッキ、有料実験室等があります。電源は230V単相、50Hzです。日本の電機仕様(100V 50Hz)の機器の利用は研究目的に限定された機器に限りダウントランスを介することで利用可能です。この施設の利用は、原則として研究目的に限られています。

  • ニーオルスン基地について(PDF

基地の利用申し込み方法

ニーオルスン基地を利用する場合は、申請や承認が必要となります。新規の研究活動である場合、活動内容によっては手続きに3ヶ月以上要する可能性があります。

1. 利用希望の連絡 

ニーオルスン基地の利用を検討されている方は、利用規定(PDF)およびニーオルスン基地管理運営規約(PDF)、ニーオルスン基地施設利用上の手引き(PDF)をご確認ください。基地を利用する場合は、国立極地研究所(以下、極地研)研究者の共同研究である必要があります。新規で利用を希望される方は、以下の内容を記載の上、北極観測センターまでご連絡ください。取得した個人情報は、本サイトに記載されている目的以外には使用しません。

・研究活動名
・RiS ID(登録済みの場合)
・研究代表者名
・所属機関名
・メールアドレス
・極地研共同研究者名
 ※未定である場合、研究分野に応じて所内研究者の紹介が可能です。
・研究概要
・基地利用予定期間
・利用予定者数

2. 研究活動の登録と申請 

ニーオルスンで新規の研究活動を始める方は、Ny-Ålesund Research Stationの研究者ガイドをご確認ください。ニーオルスンを含むスバールバル諸島での研究活動は、すべて研究プロジェクトとしてResearch in Svalbard database(RiS)へユーザーやプロジェクトの情報を登録する必要があります。登録終了後にプロジェクト承認のメールが届くと、スバールバル知事(Governor of Svalbard)への許可申請やニーオルスンにおけるサービスの予約が可能となります。既に登録済みの方は、プロジェクトの終了期限が終了していないかを確認してください。

また、2023年よりスバールバルにおけるフィールドワーク(従来よりスバールバル知事から許可が必要な活動)の申請については年4回の期限が設けられることとなりました。この申請は、Research in Svalbard Portalの対象プロジェクトのページより手続きができます。

野外活動を含めスバールバル環境保護法に関わる研究活動は、スバールバル知事の許可が必要となります。予めスバールバル環境保護法および研究・教育機関に向けた注意事項および研究指針の内容を確認してください。RiSから承認済みプロジェクトを選択し、申請フォームから活動の許可申請をしてください。許可申請の処理には最大8週間かかり、メールで回答があります。活動にあたり申請の要否が不明な場合は、スバールバル知事へ問い合わせる必要があります。

ニーオルスンの共用観測施設へ機器を設置する場合や設備を借用する場合は、ノルウェー極地研究所および施設を管理するキングスベイ社への事前確認が必要となります。連絡先については、北極観測センターから案内します。

3. ニーオルスン観測調整会議による承認 

ニーオルスン観測調整会議(NySMAC)において、研究プロジェクト・活動の承認が必要となります。会議への報告等は原則として北極観測センターの担当者が行いますが、資料作成や説明・報告対応等を研究代表者自身に依頼する場合があります。研究活動が以下の項目に該当する場合は、承認や手続きに時間を要します。

・一度にニーオルスンに滞在する人数が15人を超える。
・フィールドにおいて何らかの試料(土壌、植物など)を採取する。
・フィールドにおいて化学物質を使用する。
・動物を扱う活動を行う。
・ニーオルスンで学生向けの授業/講義を行う。
Ny-Ålesund Flagshipsプログラム(大気、雪氷、沿岸海洋、陸上生態系)に関連しない研究(例:社会科学等)を行う。
・無人航空機(UAV)を使用する。
※飛行規制については、Ny-Ålesund Research Stationの研究者ガイド内、無人航空機の項目をご確認ください。
・電波(2~32GHz)を発する機器を利用する。
※無線送信の規制については、Ny-Ålesund Research Stationの研究者ガイド内、無線送信機の項目をご確認ください。

4. 基地利用申請書の記入・提出〜基地利用承認 

施設利用1カ月以上前までに極地研共同研究者と事前調整の上、施設利用申請書(PDFWord)を記入し、北極観測センターまで提出してください。北極観測センターにて承認後、研究代表者へお知らせします。

5. チャーター便と宿泊の予約 

RiSサイトから、ロングイヤービン~ニーオルスン間の航空便と現地宿泊の予約をしてください。北極観測センターにて予約内容を確認・承認後、キングスベイ社が承認すると、航空便/宿泊予約確認書がメールで届きます。北極観測センターより、ホッキョクグマの生態と安全対策に関する資料、現地での緊急連絡網を送付しますのでご確認ください。

6. 銃器借用申請 

ニーオルスンはホッキョクグマの生息域にあたるため、村内中心部を離れる際には銃器を携行する必要あります。2021年にノルウェーの銃器使用に関する法律が改正され、ニーオルスンでライフルを借用する場合、スバールバル知事への銃器借用申請が必要となりました。

本件の手続きに際しては、許可証の発行までに時間を要すると予想されますので、銃器借用を予定されている方や、ご不明な点がある方は、北極観測センター aerc-kikaku@nipr.ac.jp まで、お早めにご連絡ください。申請の詳細をご案内致します。

参考:Staying safe in Ny-Ålesund | Ny-Ålesund Research Station(nyalesundresearch.no)

7. ニーオルスンでの研究活動・ニーオルスン基地の利用 

安全上の配慮を十分に行った上で活動してください。
事前に下記HPをご一読ください。
Staying safe in Ny-Ålesund | Ny-Ålesund Research Station(nyalesundresearch.no)

8. 施設利用報告書の提出 

基地利用後2週間以内に施設利用報告書を北極観測センターへ提出してください。

利用規定・手引き
  • 利用規程(PDF
  • ニーオルスン基地管理運営規約(PDF
  • ニーオルスン基地施設利用上の手引き(PDF
申請書・報告書
  • 施設利用申請書・報告書(PDFWord
申し込み先

E-mail:nalyr@po.nipr.ac.jp
郵送:〒190-8518 東京都立川市緑町10-3
   国立極地研究所 北極観測センター

機材輸送の方法

海路(大型・重量物)の場合はトロムソから、空路の場合はロングイヤービンからの輸送をニーオルスンのキングスベイ社に依頼する必要があります。(https://kingsbay.no/flight-harbour-fuel/

キングスベイ社に輸送を依頼する際には同じ情報を北極観測センター(aerc-kikaku@nipr.ac.jp)宛にも(cc:で)お送りください。日本からニーオルスンまでの輸送日数の目安は海路の場合約10週間、空路の場合約14日です。

  • ニーオルスン宛の航空荷物用書式(PDFExcel
  • ニーオルスン発の航空荷物用書式
    ・Proforma Invoice/Packing List(Word
    ・航空貨物インフォメーションシート(Excel

日本からニーオルスンまでのルート

日本からは、ノルウェーのオスロやトロムソを経由してロングイヤービンに入ります。ここまでは通常の商業航空便です。ロングイヤービン〜ニーオルスン間の航空機利用の予約は北極観測センターを通じて行います。

ロングイヤービン〜ニーオルスン間の通常フライトは、夏期は週2〜4便、冬期は週1〜2便です。
料金:1人往復NOK9,000、修士課程までの学生は割引あり(2023年1月現在)

通貨

ニーオルスンの通貨はノルウェークローネ(NOK)です。ロングイヤービンには銀行があり、両替ができますが、ニーオルスン、ロングイヤービンではVisa, Diners, Eurocard, American Express, MasterCard, Maestro等のクレジットカードでほぼすべての支払いができます。

ニーオルスン滞在、その他

食事は村内のサービスビルで提供されます。料金はNOK770/1日、修士課程までの学生はNOK520/1日(2023年1月現在)です。キングスベイ社から食材を入手することもできますが、滞在中は食事料金を支払う必要があります。

売店が週2回開き、飲料(酒類を含む)や軽食、生活用品を購入することができます。洗濯は、日本の基地内にあるランドリールームの洗濯機と乾燥機が使用できます。

ニーオルスン基地開設25周年記念誌

日本は1991年にニーオルスンに基地を開設し、2016年に四半世紀を迎えました。

本誌では基地開設までの経緯からこの25年間の研究の歩み、そして新基地建設構想や日本の北極研究の将来展望などが語られています。

25年間の積み重ねと先人たちの思い、そしてニーオルスン基地の果たす役割が時とともに大きいものとなっていることがわかります。

ロングイヤービン

ロングイヤービンは、人口約2,000人が居住する世界最北の町の一つで、スバールバル大学(UNIS)があります。スーパーマーケットや店舗で一般的な物品が入手できます。宿泊施設としてホテルもいくつかあります。空港と町の中心部との間は、飛行機の発着時刻に合わせて空港バスが運行しています。タクシーもありますが、利用するには電話予約が必要です。

Longyearbyen 宿泊施設情報 (外部リンク)

 

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 北極観測センター
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3 (交通アクセス) / E-mail:aerc-kikaku@nipr.ac.jp