プロジェクト報告・成果 | ArCS II 北極域研究加速プロジェクト https://www.nipr.ac.jp/arcs2 北極域に関する先進的・学際的研究を推進し、その社会実装を目指します Fri, 10 Jan 2025 06:27:53 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.5 ArCS II北極フォトギャラリー https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/gallerry/ Fri, 10 Jan 2025 06:27:52 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13518 ArCS IIを通して研究者たちが撮影した写真を紹介します。北極のさまざまな風景や研究の様子をぜひお楽しみください。 ※掲載されている写真の著作権は撮影者に帰属します。複製、改変、二次利用などはご遠慮ください。 アラスカ […]

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ArCS IIを通して研究者たちが撮影した写真を紹介します。北極のさまざまな風景や研究の様子をぜひお楽しみください。
※掲載されている写真の著作権は撮影者に帰属します。複製、改変、二次利用などはご遠慮ください。


アラスカ縦断原油パイプライン(ノーススロープ近郊)
撮影地:ノーススロープ近郊(米国)
撮影:原田 大輔(2023年9月)
アラスカ・ノーススロープの原油集積所近辺の野生のカリブー
撮影地:ノーススロープ石油開発現場(米国)
撮影:原田 大輔(2023年9月)
アラスカ・ノーススロープの原油パイプライン
撮影地:ノーススロープ・デッドホース空港着陸前(米国)
撮影:原田 大輔(2023年9月)
グリーンランド・ヌークのオーロラ
撮影地:グリーンランド・ヌーク市内(デンマーク)
撮影:原田 大輔(2024年9月)
海に流れ込む氷河(グリーンランド上空より)
撮影地:レイキャビクからヌークに向かう機上(デンマーク)
撮影:原田 大輔(2024年9月)
気象観測タワーの上に舞ったノーザンライツ
撮影地:アラスカ・フェアバンクス(米国)
撮影:植山 雅仁(2018年8月)
「みらい」北極航海中のグラビティーコア投入
撮影地:北極海
撮影:山本 正伸(2024年9月)
ハーディング氷原を見つめるカササギ
撮影地:アラスカ・ハーディング氷原(米国)
撮影:阿部 稜平(2024年7月)
グルカナ氷河と赤雪
撮影地:アラスカ・グルカナ氷河(米国)
撮影:阿部 稜平(2024年7月)
ハーディング氷原で繁殖する雪氷藻類による赤雪現象
撮影地:アラスカ・ハーディング氷原(米国)
撮影:阿部 稜平(2024年7月)
海氷観測中に姿をみせた氷上の王
撮影地:アラスカ・ウトキアグヴィク沿岸定着氷上(米国)
撮影:Marc Oggier(2023年5月)
ヒメウミスズメ猟の相談
撮影地:グリーンランド・シオラパルク(デンマーク)
撮影:日下 稜(2022年7月)
カナック氷河から流れ出る河川での流量観測
撮影地:グリーンランド・カナック(デンマーク)
撮影:日下 稜(2022年7月)
フルマカモメ
撮影地:グリーンランド・カナック(デンマーク)
撮影:日下 稜(2022年7月)
ミッドトレ・ロヴェンブリーン氷河から望むコングスフィヨルデン
撮影地:スバールバル諸島・ニーオルスン(ノルウェー)
撮影:大沼 友貴彦(2024年9月)
アラスカ グルカナ氷河の赤雪と暗色氷
撮影地:アラスカ・グルカナ(米国)
撮影:大沼 友貴彦(2023年8月)
「みらい」と氷盤
撮影地:北極海
撮影:梅村 健太郎(2024年9月)
「みらい」と虹
撮影地:北極海
撮影:梅村 健太郎(2024年9月)
「みらい」と海氷縁
撮影地:北極海
撮影:勝野 智嵩(2022年9月)
サハの白い太陽
撮影地:サハ共和国(ロシア連邦)
撮影:藤岡 悠一郎(2018年3月)
ウマと牧夫
撮影地:サハ共和国(ロシア連邦)
撮影:藤岡 悠一郎(2018年3月)
ウマに餌を与える牧夫
撮影地:サハ共和国(ロシア連邦)
撮影:藤岡 悠一郎(2018年3月)
CTD観測中に、突然、「みらい」のそばに現れたシロクマ
撮影地:太平洋側北極海
撮影:松野 孝平(2023年9月)
まだ氷に覆われた7月の海を背景に調査地へ向かう研究者
撮影地:グリーンランド・カナック村(デンマーク)
撮影:杉山 慎(2024年7月)
地元住民と研究者の連携による氷河前での海洋調査
撮影地:グリーンランド・ボードインフィヨルド(デンマーク)
撮影:杉山 慎(2023年7月)
若手研究者が氷レーダーを使って氷河の基盤地形を調査
撮影地:グリーンランド・カナック氷帽(デンマーク)
撮影:杉山 慎(2022年7月)
GEWEX conferenceでのポスター発表
撮影地:京王プラザホテル札幌(日本) 
撮影:Mangesh Goswami(2024年7月)
GEWEX conferenceでのポスター発表
撮影地:京王プラザホテル札幌(日本) 
撮影:Mangesh Goswami(2024年7月)

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第4回ArCS II公開講演会『つながってる!?わたしと北極』を開催しました https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/seminar241201/ Thu, 09 Jan 2025 06:11:39 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13647 2024年12月1日(日)に、第4回ArCS II公開講演会『つながってる!?わたしと北極』を、東京お台場の日本科学未来館・未来館ホールにて開催しました。公開講演会の参加者は86名で、20代以下が3割を占め、前回までの公 […]

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2024年12月1日(日)に、第4回ArCS II公開講演会『つながってる!?わたしと北極』を、東京お台場の日本科学未来館・未来館ホールにて開催しました。公開講演会の参加者は86名で、20代以下が3割を占め、前回までの公開講演会に引き続き若年層の参加が目立ちました。教育やメディア関係者の参加も2割弱ありました。


第1部は「つながりを探る」と題した話題提供パートで、佐藤 友徳氏(北海道大学)、小谷 亜由美氏(名古屋大学)、上野 洋路氏(北海道大学)が、日本と北極とのつながりを大気・陸・海の視点から紹介しました。気象予報士の斉田 季実治氏に司会・進行を務めていただきました。

佐藤氏は「北極と日本をつなぐ大気のながれ」と題して、大気を通した日本と北極とのつながりを紹介しました。北極の温暖化により、高緯度で高温を記録する日の増加が心配されていること、シベリアの森林火災由来の煙が日本まで長距離運ばれてきていること、日本を含む東アジアで降水が強まる可能性があること、日本への渡り鳥にも影響を与えていそうなことなど、内容は多岐にわたりました。参加者からは、「なぜ南極より北極の方が温暖化が激しいのでしょうか。」「偏西風が蛇行する理由は温暖化なのでしょうか。」などの質問が出ました。

小谷氏は「日本とどう違う?シベリアの森林で起こっていること」と題して、東シベリアの永久凍土地域に広がる森林について日本と比較しながら紹介しました。年平均気温が低く降水量が少ないシベリアに森林が広がるのは永久凍土のお陰であること、森林は自身や土壌に炭素を貯蔵し、水の循環を通して気温を調整していること、近年の環境変化によって森林火災や森林の枯死が増加し、大気や海洋にも影響を与えていることをお話しました。参加者からは、「シベリアの森林にはどのような生き物がいますか。」「微生物が地中の有機物を分解して排出するCO2と植物が吸収するCO2はどちらが多いのでしょうか。」などの質問が出ました。

上野氏は「海でつながる日本と北極」と題して、海の視点から日本と北極とのつながりを紹介しました。1980年代以降、北極海の海氷面積や海氷厚は減少していますが、北極海が「亜寒帯化」することで、北極海の生態系を支える植物プランクトンの増殖や、食卓と直結する漁業へ影響がでていることをお話しました。また、学部生・院生が参加した2023年度おしょろ丸北極航海についても紹介しました。参加者からは、「北極と南極の海洋調査の違いはありますか。」「プランクトンの大増殖が2回起こると、プランクトンの総量は増えるのですか。」などの質問が出ました。

第2部は「つながりを感じる」と題したパネルディスカッションで、ファシリテーターの斉田氏、パネリストの佐藤氏、小谷氏、上野氏の4人が登壇しました。まずは、斉田氏から「北極圏が鍵を握る『冬の天気予報』と『宇宙天気』」と題して、天気予報と宇宙の視点から日本と北極のつながりを紹介しました。「北極振動」が日本の異常気象の要因の一つであること、この冬の天候の予報、文明進化型の宇宙天気災害やその備えの必要性などについてお話しました。参加者からは、「斉田さんの考えと気象庁の予報が違うことはありますか。」「宇宙天気予報が実用化したら、どんな対策をすればよいでしょうか。」などの質問が出ました。

後半は、参加者から事前に寄せられた質問や会場からの質問に答えながら、日本と北極とのつながりや北極域研究について理解を深めていきました。「森林火災による大気汚染の予報は可能でしょうか。」「実際に北極に出向いて観測する必要性や現地での研究活動・生活の様子を教えてください。」「北極圏には国家が存在しますが、研究ではどのような国際連携がなされていますか。」「北極について深く知りたい場合のお勧めウェブサイトなどを教えてください。」「これからどのような北極の研究を進めてみたいですか。」など、多岐にわたる質問が途切れることなく出て、登壇者と参加者が一体となった活気のある時間となりました。

参加者からは、「専門的な知識もありつつ、わかりやすい説明でした。楽しくてあっという間の時間でした。」「わたしと北極、つながっていると感じることができました。」「北極の研究は大切だと思います。今後の発展、進展に大きな期待を持ちました。」「大人からだけでなく子供からの質問が活発でよい会だなと思いました。」「極地域のことを知る貴重な機会でした。是非今後も何かしらの形でこのような活動を継続していただきたいです。」などの感想が寄せられ、参加者の北極や地球温暖化への興味・関心をさらに引き出すことができました。

 

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西堀榮三郎記念探検の殿堂開館30周年記念展「地球温暖化―東近江市から考える北極の環境変化」開催報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/nishibori2024/ Tue, 07 Jan 2025 02:16:50 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13617 西堀榮三郎記念探検の殿堂開館30周年記念として、2024年7月10日(水)~10月6日(日)に、企画展「地球温暖化―東近江市から考える北極の環境変化」が開催されました。ArCS IIは、展示の企画・監修やイベントの実施に […]

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西堀榮三郎記念探検の殿堂開館30周年記念として、2024年7月10日(水)~10月6日(日)に、企画展「地球温暖化―東近江市から考える北極の環境変化」が開催されました。ArCS IIは、展示の企画・監修やイベントの実施に関わりました。


ArCS IIの展示では、北極と南極との違いや北極の環境変化、北極の温暖化の影響が表れやすい理由、日本の北極域研究などを紹介しました。そのほかには、東近江市や琵琶湖周辺の環境変化や「どっちがエコ?クイズ」などの身近なテーマの展示、すごろくやかるたの体験があり、ローカルからグローバルな話題まで、子供から大人までが興味を持てる企画展となりました。来場者からは、「地球規模・身近な地域を題材にしているものもあり、企画展とても面白かったです。」「気温上昇のペースが自分が感じていたよりもずっと早いということが知れました。」「小学生の方にぜひ見学をしてもらってください。」などの感想が寄せられました。

関連イベントとして、2024年7月21日(日)に、「どうなる?どうする?北極の今と未来」と題した北極ボードゲーム『The Arctic』 体験会と大石 侑香氏(神戸大学)による講演会「気候変動とシベリアのトナカイ牧畜民」を行いました。参加者からは、「気候変動の影響が最もわかりやすい形で「見える」場所が北極だと感じました。」「北極は多くの国に囲まれているので各国が協調するのが不可欠だと思いました。」「便利な生活でなく、自給自足の生活を維持できる方がよいという考え方は新しい視点でした。」などの感想が寄せられました。

2024年8月3日(土)には、東近江市出身の青木 輝夫氏(国立極地研究所)による講演会「東近江市から考える地球温暖化と北極の環境変化」を開催しました。子供の頃の愛知川(えちがわ)の思い出を導入として、グリーンランドでの研究観測の様子、地球温暖化がもたらす北極へのさまざまな影響、今後必要な議論について紹介しました。講演中には実験も行われ、子供から大人までが自然現象を理解しやすくする工夫もなされました。参加者からは、「データをもとに、裏付けのある正確な話が聞けました。全てにおいて興味深かったです。」「実験を通しての解説はわかりやすかったです。」「一人一人が理解を高め、私たちの生活を守っていかなければ、大変なことになると改めて感じました。」などの感想が寄せられました。

開催期間が夏休みを含む3ヶ月にわたり、子供から大人まで2,000人近くが訪れました。新聞やテレビなどメディアにも多く取り上げられ、30周年にふさわしく多くの人が訪れる企画展となりました。

 

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合同公開講演会「北極航路研究の最前線」報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/2025-01-06-2/ Mon, 06 Jan 2025 06:02:23 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13601 報告者:矢吹 裕伯(国立極地研究所 北極海氷情報室) 関連課題:重点課題② ArCS II北極航路課題の成果報告会と重点課題② 北極海氷情報室 の2024年度フォーラムが、合同の公開講演会「北極航路研究の最前線」として、 […]

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報告者:矢吹 裕伯(国立極地研究所 北極海氷情報室)
関連課題:重点課題②

ArCS II北極航路課題の成果報告会と重点課題② 北極海氷情報室 の2024年度フォーラムが、合同の公開講演会「北極航路研究の最前線」として、2024年11月27日に工学院大学新宿キャンパスおよびオンラインでハイブリッド開催されました。現地26名とオンライン55名で合わせて81名の参加でした。

午前は、北極海氷情報室2024年度フォーラムとして、北極海氷情報室とArCS IIの各課題との連携の成果や情報発信、それらのフィードバックを一般の方々にも公開し、幅広い層からのご意見をいただくことで今後の研究や情報発信の方向性を探ることを目的として行い、午後は北極航路課題の2024年度の成果報告会を行いました。プログラムはこちら を参照ください。

午前の部では、「みらい」北極航海2024のために実施した海氷予報とその評価について報告を行いました。まず航海前の計画段階で実施した中期予報による北極海氷の分布や海氷厚に関して発表を行いました。また航海中に実施した航海計画域に限定した10日先までの海氷数値予報の発表、さらには北極全域での10日先までの海氷数値予報の精度に関しての発表などが続き、実際に「みらい」北極航海2024に参加した乗船研究者や船舶運航者からの評価を得ました。質疑応答では、活発な情報交換が行われ、またアンケートの実施により広範囲な意見を参照することができ、貴重な情報交換の場となりました。

午後の部では、北極航路課題で実施してきた、航行支援のための海氷情報生成機器の開発に関する成果、北極海環境を考慮した氷海船舶のリスク評価とそれに基づくルール化に関しての成果、北極海における油流出によるリスク評価とその対策に関しての成果、気候変動を考慮しての北極航路利用の経済評価に関しての成果の報告が行われ、最終成果へのまとめの状況が報告されました。

また特別講演では、今後北極海に関して実施すべき研究課題に関して詳しく紹介され、北極航路課題にとって貴重な情報となりました。

参考:合同講演会「北極航路研究の最前線」開催のお知らせ

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「ArCS II 若手人材海外派遣プログラム2024年度参加報告会」開催報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/2025-01-06-1/ Mon, 06 Jan 2025 06:02:17 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13599 2024年12月19日(木)、TKP東京駅カンファレンスセンター(東京都中央区)においてArCS II若手人材海外派遣プログラム2024年度参加報告会を開催しました。今年度も現地とオンラインのハイブリッド形式での開催とな […]

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2024年12月19日(木)、TKP東京駅カンファレンスセンター(東京都中央区)においてArCS II若手人材海外派遣プログラム2024年度参加報告会を開催しました。今年度も現地とオンラインのハイブリッド形式での開催となり、派遣プログラムの参加者10名(現地出席8名・オンライン出席2名)による研究成果の発表および、現地参加者と本プログラム関係者による座談会が行われました。

発表では今回の派遣目的、研究内容、派遣先での取り組み状況や研究成果についての報告がされました。各々工夫を凝らして作成したスライドをスクリーンに映しながら、参加した学会での発表風景、現地での調査・観測の様子や得られた成果、大変だったことや予期せぬトラブルについて等、さまざまな報告がされました。熱意を持って取り組んだことが伝わる興味深い発表となり、発表を聞いていた関係者や他の参加者からの質疑応答も盛んに行われました。また、派遣先での滞在中の過ごし方や、地域の方々・他の研究者との関わりについても語られ、海外での新鮮な体験の様子を臨場感と共に感じることができました。

その後の座談会でも和やかな雰囲気の中で活発な意見交換がなされ、大変実りある報告会となりました。

発表の様子
座談会の様子

参加者からは、他の参加者と交流できて非常に充実した時間を過ごせた、他の派遣者との交流や報告を聞くことができ大変勉強になった、といった感想が寄せられ、今後の人脈構築を含め人材育成としての重要な役割を担っている事業であると感じました。

 

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ArCS IIイベントシリーズ・サイエンストーク「とける永久凍土 現地では何が起きているのか?」を開催しました https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/st1207iijima/ Fri, 27 Dec 2024 03:01:22 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13574 ArCS IIの最終年度である2024年度は、代表機関の国立極地研究所の南極・北極科学館を中心に、ArCS IIイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を、年間を通して行っています。2024年12月7日(土)には、飯島 慈 […]

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ArCS IIの最終年度である2024年度は、代表機関の国立極地研究所の南極・北極科学館を中心に、ArCS IIイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を、年間を通して行っています。2024年12月7日(土)には、飯島 慈裕氏(東京都立大学)を講師に迎え、サイエンストーク「とける永久凍土 現地では何が起きているのか?」を実施しました。


登壇者の飯島氏は、自然地理学(特に気候学)が専門で、永久凍土について20年以上研究を続けています。サイエンストークは、人工的に作った凍土を全員に触ってもらうところから始まりました。参加者は、「冷たい!」「硬い!」などの声を上げつつ、興味深そうに凍土と普通の砂とを触り比べていました。その後、永久凍土の成り立ちや特徴を、多くの貴重な写真や映像とともに紹介しました。

次に、地球温暖化による永久凍土への影響を、現地調査の様子を交えながら紹介しました。東シベリアでは、気温の上昇と積雪の増加により、地下の温暖化と湿潤化が同時に起こっています。その結果、カラマツ林の枯死や土壌からの温室効果ガスの放出、サーモカルストと呼ばれる地表面が沈降する現象の出現で空港や家屋、農地が使用できなくなるなど、さまざまな影響が出ています。研究者は現地に暮らす人々への情報提供や意見交換を通して、変わりゆく永久凍土に適応する方法をともに探っていることも紹介しました。

質問の時間には、「永久凍土層は地下何mまで続いているのですか。」「永久凍土がとけると、地中から温室効果ガスやマンモス以外でどのようなものが出てくるのでしょうか。」「人々の生活が保障できなくなる、住めなくなるということは今後あるのでしょうか。」などの質問が出て、サイエンストーク終了後にも熱心に質問する参加者もいました。

参加者アンケートには、「降水量が少ない土地でも森林が広がっているのは、永久凍土のお陰なのだと納得しました。」「温暖化が進むと単純に気温が高くなって雨や雪の量が減るものだと思っていましたが、永久凍土の地域ではその反対のことが起こっていて、すごく興味深かったです!」「今後、現地に住む人々に対して、どのような影響や配慮が必要になりそうかを考えるきっかけになりました。」「永久凍土に関する知識だけでなく、映像を通して調査風景や現地の人々の生活、温暖化によるサーモカルスト現象などを学ぶことができ、とても楽しかったです。」「北極の研究が学際的な非常に興味深い学問だと知れました。今、学校で受けている授業でもその1つ1つが環境問題などに役立つかもしれないのだと思って励みたいです。」「地図や実際の道具などが用意されていて、北極研究を実感しやすかったです。」「紹介して下さっていた本をいくつか買って読んでみたく思います。」などの感想が寄せられ、参加者の永久凍土や北極域研究への興味・関心をさらに引き出すことができました。

 

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ArCS IIイベントシリーズ・サイエンストーク「グリーンランドにくらす人々のくらしと毛皮との関わり」を開催しました https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/tanken0928kusaka/ Fri, 27 Dec 2024 03:01:08 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13571 ArCS IIの最終年度である2024年度は、代表機関の国立極地研究所の南極・北極科学館を中心に、ArCS IIイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を、年間を通して行っています。2024年9月28日(土)には、国立極地 […]

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ArCS IIの最終年度である2024年度は、代表機関の国立極地研究所の南極・北極科学館を中心に、ArCS IIイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を、年間を通して行っています。2024年9月28日(土)には、国立極地研究所の一般公開「極地研探検2024」 の一部として、日下 稜氏(北海道大学)を講師に迎え、サイエンストーク「グリーンランドにくらす人々のくらしと毛皮との関わり」を実施しました。


日下氏は高校2年生の時に初めてグリーンランドを訪れ、今はグリーンランド北西部の村・カナックやシオラパルクで研究活動を行っています。サイエンストークでは、グリーンランドの地理やさまざまな生き物、そこに暮らす人々の生活を、動物の毛皮を中心に紹介しました。寒さのため植物がほとんど育たないグリーンランドでは、動物は現地の人々の衣食住において欠かすことのできないものです。ホッキョクグマをはじめ、ジャコウウシ、アゴヒゲアザラシ、グリーンランドドックなどがどのように活用されているかを、現地で撮影された貴重な写真を多く使いながら紹介しました。

会場では、日下氏が北極で収集してきた動物の毛皮や加工品も展示しました。手触りが非常に柔らかなホッキョクウサギ、種類によって毛足の長さや質感が大きく異なるアザラシ、鋭い爪を持つホッキョクオオカミ、極寒の環境に耐えうる3層構造の毛皮を持つジャコウウシの毛皮などを、実際に手で触って体験してもらいました。アザラシの皮で作った犬ぞり用のムチについては、その製造工程を実物や写真、経験談を交えて紹介しました。展示では、現地の人たちが食用としてだけでなく動物を丸ごと活用している様子を来場者に伝えることができ、子供から大人までが楽しんでいる様子が印象的でした。

参加者アンケートには、「北極の村で実際暮らしたことのある研究者の話が聞けたのは貴重な体験でした。」「色々な動物の毛皮の使われ方を知ることができ興味深かったです。」「サイエンストークの切り口がおもしろかったです。」などの感想が寄せられました。毛皮の展示については、「北極に住む動物の毛に普段触ることはできないのでよかったです。」「アザラシの毛皮が思っていたのと違っていて意外でした。」「3歳と1歳の子供も興味を持って触って見たりしてとてもよかったです。」「サイエンストーク、毛皮、グリーンランドの各企画がそれぞれ工夫されていて、あまり内容に詳しくない題材のものでも楽しむことができました。」などの声が届き、参加者の毛皮や北極に暮らす人々のくらしや文化への興味・関心を大きく引き出すことができました。

 

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ヌーク(グリーンランド)とコペンハーゲン(デンマーク)にてカナック村での研究成果を報告 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/2024-12-10-1/ Thu, 12 Dec 2024 01:41:30 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13472 報告者:杉山 慎(北海道大学) 関連課題:沿岸環境課題 沿岸環境課題では、グリーンランド北西部カナック村において、氷河、海洋、生態系から自然災害、伝統文化までもカバーする研究活動を行っています。この取り組みを報告して今後 […]

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報告者:杉山 慎(北海道大学)
関連課題:沿岸環境課題

沿岸環境課題では、グリーンランド北西部カナック村において、氷河、海洋、生態系から自然災害、伝統文化までもカバーする研究活動を行っています。この取り組みを報告して今後の研究への示唆と協力関係を得るため、グリーンランドとデンマークの研究所、行政機関、公共・民間団体を訪ねました。2024年11月26日~12月6日にわたり、4人の課題研究者が8つの機関を訪ねて研究発表と議論を行いました。

(写真1)グリーンランドの首都ヌーク

グリーンランドの首都ヌークでは(写真1)、ArCS IIの国際連携拠点でもあるGINR(グリーンランド天然資源研究所)にて研究成果を紹介するセミナーを開催しました。課題PIの杉山 慎(北海道大学)から12年間にわたるプロジェクトの概要を紹介した後、小川 萌日香(北海道大学・京都大学)、エブゲニ・ポドリスキ(北海道大学)、渡邊 達也(北見工業大学)から、アザラシとイッカクの生態、音響を使った氷河・海洋観測、地すべり災害による研究成果が報告されました。GINRとは海洋生態系に関する協力を進めており、共同研究に基づいた成果に多くの質問と助言を得て交流を深めました(写真2)。また、グリーンランド政府の省庁(Ministry of Business, Trade, Mineral Resources, Justice and Gender Equality)では、地すべり災害への対策を進めるチームを訪問しました(写真3)。研究成果に加えて日本の地すべり調査技術も紹介し、今後の共同取組について検討が進みました。さらに、グリーンランドでの研究活動を掌握する新しい機関Arctic Hub、WWF(世界自然保護基金)、グリーンランドの狩猟協会でも会合を開催しました。特に全国のハンターが加盟する狩猟従事者協会(KNAPK)では、地元住民との協働に対する高い評価が得られ、今後の活動に大きな励ましを受けました(写真4)。コペンハーゲンでは、GEUS(デンマーク・グリーンランド地質調査所)(写真5)、Aarhus大学、GINRの支所を訪問しました。ArCS IIとカナックでのプロジェクトを広い範囲に紹介すると共に、進行中の共同研究に関する議論や、今後の協力関係について検討を行いました。

(写真2)コーヒーを片手にGINRの研究者との研究交流
(写真3)グリーンランドの省庁における地すべり災害に関する会合
(写真4)KNAPKを訪問
(写真5)GEUSにおける研究発表後の議論

グリーンランドの中でも研究事例の少ないカナック地域は、近年になって研究者の注目が集まっています。そのような背景の中、現地住民と密接にコミュニケーションをとりながら長期にわたって継続する研究活動に対して、多くの研究者から称賛のコメントが寄せられました。また、伝統文化と深い関わりのあるアザラシやイッカクの生態、最近明らかになった廃棄物汚染など、私たちの研究成果を行政に提供して施策に活用する道筋が示されました。北極域社会の将来に貢献するためには、地元に根差した長く地道な研究活動に加え、その成果を現地に還元する方策が必要です。今回の渡航で、さまざまな立場にあるステークホルダーとの対話が実現して、そのような目標に一歩近づく手ごたえを得ました。

現地での会合と滞在でお世話になったFernando Ugarte氏(GINR)、Mads Peter Heide-Jørgensen氏(GINR Copenhagen)、Eva Mätzler氏(Ministry of Business, Trade, Mineral Resources, Justice and Gender Equality in Greenland)、Nicoline Larsen氏(Arctic Hub)、Vittus Qujaukitsoq氏(KNAPK)、Anders Mosbech氏(Aarhus University)、Jason Box氏(GEUS)、Andreas Ahlstrøm氏(GEUS)およびSakiko Daorana氏に感謝いたします。

 

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カナダ沿岸警備隊砕氷船「ルイサンローラン」による北極海観測 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/2024jois/ Thu, 05 Dec 2024 05:16:45 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13147 海洋課題および北極航路課題の活動の一環として、2024年8月29日から9月26日にかけて、カナダ沿岸警備隊の砕氷船「ルイサンローラン」による北極海観測に参加しました。観測や船の様子を写真と共にお伝えします。 目次 ルイサ […]

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海洋課題および北極航路課題の活動の一環として、2024年8月29日から9月26日にかけて、カナダ沿岸警備隊の砕氷船「ルイサンローラン」による北極海観測に参加しました。観測や船の様子を写真と共にお伝えします。

ルイサンローラン、海氷チームの観測

執筆者:小濱 悠介(北見工業大学)

こんにちは!北見工業大学院修士2年の小濱です!

今回は、JOIS2024で行った船上観測のうち、私が主に担当した、海氷目視観測、マイクロ波放射計観測、そしてXCTD観測ついてご紹介します。

・海氷目視観測
この観測では、艦橋から海氷の厚さや密接度、種類、天気などを1時間に1回記録します。今回の航海では、海氷チームが3人編成のため、海氷域を航行中は、8時間交代で24時間体制の観測を行っています。観測の記録には、ASSIST(Arctic Shipborne Sea Ice Standardization Tool)という北極海氷の標準プロトコルを使用しました。これにより、リモートセンシングでは捉えにくい海氷の種類や厚さなどを記録し、海氷の経年変動の調査や衛星データとの比較などに使用します。今回は90回観測を実施しました。

艦橋からの海氷目視観測

・マイクロ波放射計
停船中に海氷や海水、天空から放射される微弱なマイクロ波を測定します。高性能なマイクロ波放射計は人工衛星にも搭載されていて、海氷密接度や海面温度、海氷厚などの推定に使われます。今回の航海では大きなミスをしてしました。なんと専用のLANケーブルを日本に忘れてきてしまったのです。しかし、機器の蓋を開けて中にあるルーターに直接通常のLANケーブルを挿すことで、何とか使えるようになりました。ようやく使えるようになったと思ったのも束の間、観測に使う専用ノートPCの充電が切れていることに気づきました。調べたところ、ACアダプタが断線して壊れていたため充電できていなかったようです。幸運にも、船内に同じACアダプタを持っている方がいたため、一時的にお借りして観測を続行でき、貴重なデータを得られました。今回の航海では13回実施しました。

マイクロ波放射計での計測

・XCTD
XCTDとは使い捨てのCTDのことで、今回使用したXCTD-1Nの場合、最大船速12ノットで移動しながら最大1,000 mまでの海水の電気伝導度(塩分)、水温、水深を測定できます。この航海でXCTDはCTD観測を行った地点と、これからCTD観測を行う地点の間を埋めるような形で行います。XCTDを使う際には、投下する人と観測ソフトウェアを操作する人が必要です。XCTDを投下する際、船の速度を落とす必要があるため、艦橋の航海士の方と無線でやり取りをするのですが、英語で行うため特に聞き取りが難しいです。海氷域でXCTDを行う際はXCTDのワイヤが海氷にぶつかって切れないように投下位置を船のスクリューの真後ろに移動するなど、細心の注意を払う必要があります。今回の航海では40回実施しました。

XCTDの計測

これらの観測で得られたデータは貴重な観測値になり、リモートセンシングデータの精度向上に貢献し、気候変動監視や氷海での航行支援に役立ちます。

(2024/11/29)

ルイサンローランでの生活

執筆者:小濱 悠介(北見工業大学)

はじめまして!北見工業大学院修士2年の小濱です!私がルイサンローランに乗船したのは昨年に引き続き2回目となります。今回の観測では海氷目視観測、XCTD、氷上観測を主に担当します。今回はルイサンローランでの船内生活についてご紹介します。

・観測について
海氷を担当する3名(舘山、小濱、石山)は8時間交代で24時間観測します。ただ、日中に観測機器の取り付けなどがある場合は担当する時間以外でも参加します。また、海氷観測は海氷域航行中が観測期間であるため、海水域を航行する後半では、忙しくなるCTD観測チームのお手伝いとして採水などを行います。観測の詳しい内容については別の回で紹介したいと思います。観測に関するものとして、サイエンスミーティングが毎日45分程度あります。その際に気象や海氷の現況と予報、観測の予定を共有します。航海の後半では観測も落ち着いてくるため、空いた時間に研究者たちのプレゼンがあります。私たちも海氷チームとして今回の航海で得られたデータについての発表を行いました。

・居室について
私たちが使用する居室は個室となっています。居室には机やソファー、ベッド、収納、TV、水道があるので、快適に生活を送ることができます。私はルイサンローラン以外の観測船で生活したことはないのですが、日本の観測船で生活したことのある他のメンバーによると、日本は相部屋で狭いとのことで、ルイサンローランの居室はかなり充実しているそうです。

ルイサンローランの居室

・食事について
船の食事は、食堂に貼り出されているメニューから希望のものを給仕係の方に伝え、盛り付けてもらう方式でした。1日3食でメイン、サラダ、パンなどが出ます。その他に船内手作りデザートやクッキー、ソフトクリームなどが、24時間飲食できるようになっています。コーヒーや牛乳、オレンジジュース、スムージーなども飲み放題です。提供される料理はルイサンローランの母港であるカナダのニューファンドランド・ラブラドール州セントジョンズの料理(タラなど海鮮料理)のほか、フランス料理、カナダ料理、中華料理、東南アジア料理など幅広いメニューが日替わりで出され、毎日おいしい料理を楽しむことができます。昨年の航海ではメニューを全部載せしたことがあり、食べ過ぎで7 kgも太ってしまいましたが、今年は船酔いになることが多かったので2 kg減りました。

船内の食事(左から朝食、昼食、夕食)

・ジムについて
船での生活では運動不足になりがちですが、ルイサンローランには船内ジムがあり、筋トレや有酸素運動を行うことができます。マシンのバリエーションも多く、充実した設備になっています。夕方には利用者も多く、少し混むこともあります。私は趣味が筋トレなので、バーベルやダンベル、マシンを使って頻繁にトレーニングを行い、長い航海中の良い気分転換になりました。

船内ジムでのトレーニング

(2024/11/29)

ルイサンローランへついに乗船!

執筆者:石山 幸秀(東京大学)

はじめまして!ルイサンローラン観測チームです。私たちは、Joint Ocean Ice Study(以下、JOIS)2024に参加しています。JOISでは、カナダ沿岸警備隊の砕氷船「Louis S. St-Laurent(ルイサンローラン)」で観測を行います。本航海は、北極海カナダ海盆で行われる海洋・海氷調査プロジェクトで、海氷や海水、生物を採取して分析するほか、観測機器の設置や回収も行います。本プロジェクトにはカナダを中心に、アメリカ、日本から研究者や大学院生など25名が参加しています。

JOIS2024の航路計画(提供:Fisheries and Oceans Canada Institute of Ocean Sciences)

今年は、日本から4名が参加しています。今後は、この4名で観測の様子や船内生活の様子についてお伝えできればと思います。最初に、簡単にメンバーを紹介します。北見工業大学の舘山先生と大学院生の小濱さんは、海氷観測が専門です。船上で海氷目視観測や電磁センサーで海氷の厚さや特徴を調べるほか、実際に海氷に降りて、厚さや海氷サンプルの分析を行います。東京海洋大学の川合先生は、ルイサンローランが航行する北極海カナダ海盆において、海洋酸性化や淡水分の経年変化を調査しています。筆者(石山)は海氷の中を航行する砕氷船の航行支援がテーマで、海氷が船の速度や燃料消費にどのような影響を与えるか調べています。

今回は、石山の担当回ということで、私がJOISで行う観測について紹介させていただきます。私がJOISで担当する観測は主に3つです。1つ目は砕氷船の性能評価で、船の速度や燃料消費のデータを取得し、氷の状況と照らし合わせることで、様々な氷の中で、砕氷船がどのくらいの性能(速度や燃料消費)を出せるのか調べます。2つ目は、赤外線カメラです。海氷は厚さによって複数の種類に分類されるのですが、様々な種類の海氷に対して、海氷の表面と海水面の温度差を調べます。3つ目は、波浪センサーです。幅数kmの海氷上にセンサーを設置し、海氷の下を伝わる波を観測します。

私は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 早稲田 卓爾教授の研究室で、砕氷船の航行支援の研究をしており、半年ほど前には日本の第65次南極地域観測隊に参加し、砕氷艦「しらせ」の砕氷航行についてデータを取得していました。しかし、北極海での観測は私にとって初めての経験となります。地球の反対側の北極での観測ということで、南極と北極の海氷の違い、日本とカナダの砕氷船の違いや共通点について肌で感じてきたいと考えています。

今回は、ルイサンローランに乗船するまでの様子を紹介させていただきます。

ルイサンローランまでは、羽田→サンフランシスコ→エドモントン→イエローナイフ→ケンブリッジ・ベイと、何度も飛行機を乗り継いで向かいます。

飛行機での経路の様子

・サンフランシスコ
8月28日に羽田空港を出国し、まずはアメリカのサンフランシスコに向かいます。実は私は8月28日が誕生日だったので、東京からサンフランシスコに行くと、時差の関係で2日目(?)の誕生日を迎えることになりました。サンフランシスコでは、入国審査官の方に「Happy birthday!」と祝っていただく、うれしいサプライズもありました。

・エドモントン
ルイサンローランまでは長い道のりのため、カナダのエドモントンという街で1泊しました。エドモントンで夕食を食べたのですが、カナダ料理のボリュームの多さに驚きました。日本のものと比べて3倍くらいの高さのハンバーガーや、大きなピザが印象に残っています。

エドモントンでのディナー
ホッキョクグマとアザラシのモニュメント

・イエローナイフ
この街はオーロラ観光の名所として人気があります。イエローナイフ空港は、北極圏行きの飛行機の起点となっており、この空港でJOISに参加する他のメンバーと顔を合わせました。空港では、ホッキョクグマのモニュメントが出迎えてくれます。今回の航海では、ホッキョクグマに出会えるでしょうか…?

イエローナイフ発の飛行機に乗り込んだところ、出発前にまさかのエンジントラブルが…。飛行機を降り、空港で案内を待つことになりました。長旅には、トラブルもつきものなのかもしれません…

・ケンブリッジ・ベイ
数時間の遅れはあったものの、最終的には無事、全員でケンブリッジ・ベイ空港に到着しました。舗装されていない滑走路に土煙を上げて着陸すると、周りには建物もほとんどなく、日本から遠く離れた土地に来た実感がわいてきました。夏の日本では、半袖でも汗が止まりませんでしたが、ケンブリッジ・ベイでは長袖を重ね着しても寒いほどでした。空港の建物に入ると、今度はジャコウウシのモニュメントが出迎えてくれました。ケンブリッジ・ベイ周辺はジャコウウシの生息地として有名で、約3万頭が生息しているそうです。

ジャコウウシのモニュメント
ルイサンローランのヘリコプター

ケンブリッジ・ベイには大きな船が停泊できる港がないため、空港からはルイサンローランに搭載されているヘリコプターのピストン輸送で荷物と人が運ばれます。ヘリコプターに乗って数分でルイサンローランに到着しました。

羽田を出国してから乗船するまでの間も、日本とは異なる経験の連続でした。特に、空港や道端で多くの人が道を教えてくれたり、手助けしてくれたりと、現地の方の温かさを感じました。

ケンブリッジ・ベイを出港すると、本格的に乗船観測が始まります。今後、どのような海氷と出会えるか、とても楽しみにしています。

(2024/10/2)

関連リンク

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サイエンスアゴラ2024にブース出展しました https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/agora2024/ Thu, 28 Nov 2024 06:47:35 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=13414 2024年10月26日(土)、27日(日)に、東京お台場で開催された科学技術振興機構(JST)主催の科学技術イベント サイエンスアゴラ2024  にブース出展しました。参加4年目となった今年、ArCS IIブース「今、な […]

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2024年10月26日(土)、27日(日)に、東京お台場で開催された科学技術振興機構(JST)主催の科学技術イベント サイエンスアゴラ2024  にブース出展しました。参加4年目となった今年、ArCS IIブース「今、なぜ北極!? ~気候変動と私とのつながり~」 では、若手研究者によるサイエンストークとパネルや実物の展示を中心に提供しました。科学技術好きの親子連れや学生、科学館・教育関係者など2日間で500名程度の方がブースを訪れました。

 

サイエンストーク:若手研究者が語る!北極域研究の最前線

若手の北極研究者が、気候予測、雪氷微生物、海洋生態系、大気観測について紹介するサイエンストークを行いました。

トーク① 「激動する北極の気候」

気象学・気候学が専門の相澤 拓郎氏(国立極地研究所/気象庁気象研究所)は、スーパーコンピュータ上に地球を再現した「地球システムモデル」を用いた北極の気候変動解析や将来予測について紹介しました。北極の温暖化は1979年以降、地球全体平均と比較して約3倍のスピードで進んでいます。北極の気候は過去100年の間、自然及び人間活動に起因する変化に人間活動とは無関係に生じる変動が重なって、激しくゆれ動いてきました。今後も温室効果ガスの排出が増え続ければ、北極の気温は急速に上昇し続ける可能性が高いことを伝えました。参加者からは「観測技術の質は解析の精度に影響を与えるのですか」「現在の予測だと2100年には北極海に氷は無くなってしまうのでしょうか」などの質問が寄せられました。

 

トーク② 「氷河上で生きる微生物」

雪氷生物学が専門の小林 綺乃氏(千葉大学)は、氷河上に生息する微生物、特に氷河の融解水がたまる水たまり・クリオコナイトホールに繁殖するツボカビについて紹介しました。氷河の融解を促進する原因の一つが、雪氷藻類による氷河の暗色化です。ツボカビは研究が始まったばかりで謎が多い微生物ですが、世界中の氷河で発見されており、雪氷藻類に感染することで氷河の暗色化を抑制する可能性があることが分かってきました。また、観測拠点であるグリーンランドのカナック村での生活や住民との交流など、観測活動の全体像も伝えました。参加者からは「ツボカビは最近発見されたのですか」「場所によってツボカビの感染率は異なるのですか」などの質問が寄せられました。

 

トーク③ 「北極海の泥に眠る小さなタネ」

生物海洋学が専門の深井 悠里氏(海洋研究開発機構)は、北極海の豊かな生態系を支える植物プランクトンについて紹介しました。この大増殖には海底に沈んだ植物プランクトンのタネ(休眠期細胞)が重要な役割を果たしているのではとの考えや、海氷の融解時期や日射量の変化がどのように大増殖に影響を与えるのかを、北極海の海底から採集してきた泥を見せながら伝えました。また、今夏も参加した海洋地球研究船「みらい」の北極航海でのこぼれ話も紹介しました。参加者からは、「北極海の場所によってタネの種類や量が違いますか」「植物プランクトンの増殖パターンには塩分も影響しますか」などの質問が寄せられました。

 

トーク④ 「飛行機から診る北極上空の温室効果ガス」

大気化学が専門の藤田 遼氏(気象庁気象研究所)は、航空機を利用した大気観測について紹介しました。航空機で大気観測を行うしくみ、温室効果ガス濃度を定期的に測定することの重要性、長年にわたる観測で明らかになってきたこと、例えば、化石燃料の大量消費や夏の植物の光合成が二酸化炭素濃度に大きな影響を与えること、大気中のメタン濃度は増え続けていることなどを伝えました。サイエンストーク後には、手動の大気採取装置(MSE)の体験会も行われました。参加者からは「高緯度で二酸化炭素の季節変化が大きいのはなぜですか」「温暖化により植物が増えると二酸化炭素の吸収量に影響はあるのでしょうか」などの質問が寄せられました。

 

展示:見て、触って、語って、北極のリアルを知ろう!

展示では大型北極域地図や展示パネル、タブレットなどを活用し、北極やArCS IIの活動について紹介しました。今年はそれに加え、雪氷微生物を観察できる顕微鏡、北極海で採取した海氷や泥、航空機に搭載した大気観測装置、地球儀の工作  などを展示しました。来場者は子供から大人まで幅広く、展示物を見たり触ったりしながら、研究者と北極や研究について活発に語り合いました。

ブース内に設置したオピニオンボードには、「さまざまな要因によって北極の気候が大きく変化していることがよく分かりました」「ツボカビの解明が楽しみです」「植物プランクトンの大増殖の時期が変動する理由に納得でした」「研究者は地球のお医者さんという言葉に感動しました」「自身の研究を分かりやすく社会に伝えていて、素敵な科学コミュニケーション活動だと感じました」などの声が寄せられました。

 

今回のサイエンスアゴラへの参加は、ArCS II研究者が市民、特に、学生、科学館・教育関係者、メディアと交流する貴重な機会となりました。JSTのウェブメディア・サイエンスポータルでは、ArCS IIブースについての報告記事  が公開され、北極の注目度の高さがうかがわれました。他機関とのネットワーキングや連携の継続・拡大につながる良い機会にもなり、今後のアウトリーチ活動の発展が期待されます。

 

関連リンク

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