片岡龍峰准教授が地球電磁気・地球惑星圏学会の田中舘賞を受賞

2024年5月31日

賞状とメダルを手にする片岡准教授

宙空圏研究グループの片岡龍峰准教授が、地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS)の田中舘賞を受賞しました。田中舘賞は、地球電磁気及び地球惑星圏科学において顕著な学術業績をあげた研究者に授与されます。対象となった研究は「最大級の磁気嵐の成因に関する研究」です。

片岡准教授は、2009年以降一貫して大規模な磁気嵐の発生メカニズムは何かといった問題に関し、幾つかの斬新な切り口から、問題解決に対して大きな貢献をしてきました。

日本や中国に残る古典籍を読み解けば巨大磁気嵐の発生傾向に関する更なるヒントを得られるだろうということに着目し、いわゆる赤気現象(巨大磁気嵐時に中低緯度に現れる赤いオーロラ)が千年以上の長期にわたって記録されていることや、太陽活動が長期間低下したオールト・グランドミニマムには見られないことや、「明月記」中の連続赤気現象は日本の磁気緯度が歴史的に高い13世紀前半に発生していたことなどを、国文学研究資料館の研究者との共同研究によって報告しました。

また、柿岡地磁気観測所の約百年間にわたる長期間の地磁気記録の現代的・高品質なデータの統計解析を行い、大規模な磁気嵐の発生頻度や、百年・千年に一度の磁気嵐の規模を推定しました。

地磁気指数と太陽風パラメタの相互関係を機械学習させることで、地磁気指数の時系列から太陽風パラメタの時系列を逆推定する手法を開発したり、自ら開発したシュミレーションコードを用いて大規模な磁気嵐を作る直接の原因である南向き磁場の成因についての研究を進めたりもしています。

これらの大規模な磁気嵐の発生メカニズムに関する研究を軸足に置きながら、さらに発展的に、宇宙線変調、高エネルギー粒子による大気電離、被ばく、大気ドラッグなど多様な宇宙天気現象を明らかにする多くの共同研究をリードしています。

以上の学術的貢献が評価され、田中舘賞の受賞に至りました。表彰式は5月にJpGU中のSGEPSS(地球電磁気・地球惑星圏学会)総会で行われました。

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