より詳しい情報をご覧になりたい方は、南極観測将来構想(南極未来ビジョン2034)のパンフレット、冊子をご覧ください。

世界屈指の砕氷能力に最先端の研究観測機能で棚氷下の海洋観測に、挑む。

研究観測機能の強化で可能になるもの

急激に進行する南極氷床の融解とそれに伴う海面水位の上昇を正確に予測するためには、海氷下から一歩進んで、直接南極氷床の下、つまり氷床が海にせり出した棚氷下の観測が欠かせません。その実現のためには「しらせ」同等の砕氷能力に加えて、横方向への動きを可能にするスクリューや、ROV・AUVなどの無人探査機器、それを運用するためのムーンプールや各種クレーンが必要になります。

それらを活かすカギになるのが、サイエンスの目的に沿って観測時期や観測場所等を設定するフレキシブルな運行体制です。目的に応じて最適化した運航計画の立案、および現場の状況に応じた柔軟な運用を可能にする体制の確立も、課題となるでしょう。

昭和基地を革新し、ポストオゾンホール時代の地球環境変動を、監視する。

地球環境を監視し続けるために必要なもの

世界的なフロンガス規制によって、今後オゾンホールは縮小していくと見られていますが、これが南極の温暖化を加速させる新たな脅威になると考えられています。この「ポストオゾンホール時代」に備えるためにも、様々な観測データを積み重ねてきた昭和基地の存在意義は、一層高まっていくはずです。老朽化が進む昭和基地で、新しい時代に求められる観測を行うために、基地の革新を進めます。約70棟に分散する基地施設を10棟程度に集約することで、観測機能を強化。基地管理の効率化と省エネ化も実現します。

また、通信ネットワークを高速化するとともに、基地の利用エリアを拡張することで、新たな観測展開の可能性の拡大も模索していきます。

超遠方宇宙、氷床下3,000m、宇宙と地球のフロンティアを、探る。

超遠方宇宙、氷床下3,000m、宇宙と地球のフロンティアを、探る。

内陸観測の先にあるもの

氷床深層掘削をはじめ、南極氷床質量収支、銀河の誕生進化や巨大ブラックホールの形成の解明、エアロゾルや水蒸気等の物質輸送等、「ドームふじ」地域だからこそ可能となる研究テーマは多彩です。これらの研究計画を実現するためには、夏期に留まらず、通年観測が望まれます。

さらに、これらの計画をそれぞれの適地で展開するためには、フレキシブルに移動できる基地が必要になるでしょう。

そこで、我々は新たな内陸観測基地として、通年観測可能な可動基地を提案します。南極高地に大規模な天文台を建設する構想が国際的に進められています。これを「ドームふじ」地域に誘致することも視野に、各国が必要な観測施設を持ち込んで運営する国際宇宙ステーションのような協働運営方式を考えています。