建築

1957年1月、昭和基地は4棟(延床178m2)の建物から始まり、現在では60棟以上(延床約7500m2)の建物が建てられています。昭和基地の建設に際しては、以下のような南極特有の条件が挙げられます。
①南極の風と気温の気象条件
②観測船とヘリコプター、雪上車による輸送条件
③建設条件に関わる特殊事情

1957年の1次隊建物の設計時には、日本に割り当てられた基地候補地の気象条件はまったく不明だったため、最大風速80m/s、最低気温-60℃が想定されました。さらに、作業期間が南極の短い夏期(12月から2月)であること、建築を専門とする隊員は数人のみで、多くは建設作業の経験のない観測隊員であること、建設機械もなく、人力での作業であることなどの厳しい条件が重なっていました。そこで、建物はプレハブのパネル方式として、主材料に断熱性能が高く、現地での加工も容易な木材が採用され、木質パネル自体が構造体となって、パネル同士は金物(コネクター)で結合するという簡易な構造となりました。

その後、日本の南極観測の多様化に伴い、基地機能は拡大し、建物の形状や構造も、先に挙げた1次隊建物から、建物周囲の雪の吹きだまり対策として高床構造、不整地でも建設可能な現地骨材を使った鉄筋コンクリート基礎、さらに大型建物を鉄骨構造で建設するなど、時代と共に発展しています。

最近の建物(2018年建設の基本観測棟)

1次隊で建設された4棟の建物

現在も唯一残っている昭和基地開設当初の建物(1957年建設の旧主屋棟)