陸域生態系変動のモニタリング

課題番号:AMB1003
代表者:工藤 栄(国立極地研究所)

観測目的

氷床後退で現れた露岩域は、南極大陸上での生物活動の主要な場となっています。目立ちにくい小さな生物主体ですが、それらは南極独自の生態系を創り出しています。この陸域生態系の変動を捉えるべく、長期にわたる観測を行っています。

陸上生態系環境モニタリングの目的は、以下の2つです。
1)人間が現地で活動することによって生じる自然環境の変化を監視すること
2)地球的規模での環境と生態系の変化を監視すること

この目的達成のため、一定の調査地点において、調査・採取方法を定めて観測を恒常的に継続しています。

観測内容

これまでの南極観測活動において、20年以上にわたり、下記の3項目を継続しています

(1)昭和基地周辺における土壌微生物の定点観測

昭和基地のある東オングル島と近隣の島々に一定間隔で定点を設け、土壌をサンプリングし、国内へ持ち帰って土壌中の微生物相を調べています。

昭和基地周辺の土壌微生物モニタリング定点

モニタリング定点の一つ

(2)ラングホブデ雪鳥沢流域周辺の陸上植物群落の方形区観測

コケや地衣類が繁茂している場所(群落)を攪乱しないように区画を設け、定期的に写真撮影をすることで、長期間での群落の発達や消長を記録しています。

雪鳥沢流域での定点写真撮影(撮影:JARE48 工藤栄)

(3)主要な3露岩域での微気象観測

生物群集の繁茂が顕著な主要な3つの露岩で、気温・湿度・気圧・風向風速・日射・紫外線量を長期にわたり連続的に観測し、記録しています。

雪鳥沢気象計の保守作業(撮影:JARE48 笠松伸江)