電磁環境の地上モニタリング観測

課題番号:AMU1001
代表者:岡田 雅樹(国立極地研究所)

観測目的

昭和基地において、オーロラ活動(形態、動態、発光強度分布、エネルギー特性など)の時間・空間変動のモニタリング観測のほか、地磁気絶対観測と地磁気変化観測を行い、地球内部磁場の長期変動、及び、オーロラ活動に伴う地磁気変動の長期モニタリング観測を行っています。

昭和基地の近くの西オングル島においては、人工的な電波擾乱の少ない環境を利用して、ULF帯とVLF帯の自然電磁波動、及び、HF/VHF帯の銀河雑音電波吸収の観測、雷放電により発生するELF帯電磁波動の観測を行い、太陽風-磁気圏-電離圏結合系の中で発生する電磁波動現象の無人自動通年連続観測を行っています。

観測内容

光学観測

昭和基地のオーロラ観測シーズンは、毎年2月末から10月中旬までで、全天電子オーロライメージャ2式、全天プロトンオーロライメージャ2式、全天カラーデジタルカメラ、全天白黒TVカメラ、8色掃天フォトメータ、といった様々な光学観測器を自動運用して観測を行っています。昭和基地は南半球で数少ない有人のオーロラ光学観測点で、1957年の基地開設以来、継続的に観測が実施され、オーロラ活動の長期変動を研究する上で貴重なデータを提供してきています。また、昭和基地は、アイスランドと地磁気共役点の関係にあり、両極で同時にオーロラを観測出来る世界で唯一の観測点ペアでもあります。

昭和基地のオーロラ光学観測機器

宙空圏変動のモニタリング観測

地磁気観測

昭和基地は、南極域で磁場観測を継続的に行っている数少ない有人基地の1つです。特に、地磁気絶対観測を行っている観測点は少なく、その観測結果は、国際標準磁場モデル(IGRF : International Geomagnetic Reference Field)の導出にも使用されています。また、昭和基地は、南極域でオーロラ帯に位置する数少ない観測点の1つでもあり、地磁気3成分変化観測データは、オーロラ活動の南北比較をする上で貴重なデータとなっています。

昭和基地での地磁気絶対観測結果1

昭和基地での地磁気変化観測結果2

西オングル島での観測

西オングル島における観測は、インダクション磁力計、デルタ型ループアンテナVLF波動受信器、リオメータによる自然環境に存在する電磁波動を観測します。電源システムとして風力発電-太陽電池ハイブリッド自然エネルギー電源システムを使い、極夜期間中も、無線LAN通信によるデータ伝送・収録システムにより、通年連続観測を行っています。

電磁環境の地上モニタリング観測の拠点

西オングル島の宙空テレメータ施設(JARE58 鈴木裕子)