電離層観測

担当機関:情報通信研究機構
担当機関のページ:https://iono-syowa.nict.go.jp/

地球の高度約60kmより上には、「電離圏(電離層)」と呼ばれる領域が拡がっており、太陽-宇宙環境変動、超高層大気の状態によって大きく変化します。この電離層の変化は通信・放送等の電波伝搬や衛星測位の精度に強い影響を及ぼし、また、超高層大気の変動を観測する重要な手段ともなります。このため、国際電波科学連合(URSI:Union Radio-Scientifique Internationale)を中心に組織された電離層の世界観測網に参加し、観測データを世界資料センターから公開しています。この観測データは電気通信分野における国際連合の専門機関である国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R:International Telecommunication Union - Radiocommunication Sector)の電波伝搬に関する基礎資料になっています。国際宇宙天気予報サービス(ISES:International Space Environment Service)では、グローバルな宇宙-地球環境情報を解析し、宇宙天気の予報を発令する基礎資料として国際的な観測網を展開しています。

昭和基地において60年以上にわたって実施されている電離層定常観測は、宇宙-地球環境変動の研究に寄与するとともに、宇宙天気予報推進の重要な基礎資料です。第Ⅹ期南極地域観測計画では、電離層垂直観測、衛星電波シンチレーション観測を継続的に実施するとともに、宇宙天気予報に必要な観測情報をリアルタイムで収集、インターネット上で公開し、利用に役立てます。

電離層の観測

電離圏垂直観測

40m高デルタアンテナおよび電離層観測小屋に設置のFMCW型電離層観測装置で通信用電波伝搬の状態を知る上で重要な電離層電子密度プロファイルを観測します。

衛星電波シンチレーション観測

電離層観測小屋、重力計室、管理棟、基本観測棟で、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)など衛星測位精度に誤差を与える要因である、電離層全電子数(TEC:Total Electron Content)変動やオーロラなどによる電離圏擾乱(GNSSシンチレーション)を観測します。

昭和基地の電離層観測施設

宇宙天気予報への寄与

宇宙環境変動を示すオーロラ、地磁気、電離圏擾乱等の情報のリアルタイムデータを収集し、宇宙天気予報に提供する他、速報データとして公開します。