気象観測

担当機関:気象庁
担当機関のページ:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku/

昭和基地では、1次隊から続く地上気象観測をはじめとして、以後、高層気象観測、オゾン観測、日射・放射量の観測及び地上オゾン濃度観測などを実施し、長期間にわたって貴重な気象観測データを蓄積してきました。これらの観測は、世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)の下、国際的な気象観測の一端として各国の気象機関へ送られ、日々の気象予報に利用されています。また、一定期間毎に国際観測網のリードセンター等へデータ提供することで、温暖化やオゾン層破壊等の地球環境の解明と予測にも利用されています。

54次隊からは、南極地域の航空路拡大に伴い、大陸の航空観測拠点における気象観測も開始し、昭和基地の気象観測とともに観測隊の野外行動に役立てられています。

第X期南極地域観測計画においても、これらの様々なデータ利用ニーズに応え、地球規模での気候変動や環境などの監視に資するため、昭和基地での定常気象観測を継続して実施します。

昭和基地での気象観測

地上気象観測

地上気象観測

気圧、気温、相対湿度、風向・風速、全天日射量、日照時間、積雪の深さを連続観測するとともに、雲、天気、大気現象、視程を目視で観測し、観測結果は1日8回(00、03、06、09、12、15、18、21UTC)通報します。

温度計・湿度計が入っている百葉箱

高層気象観測(気象ゾンデ観測)

高層気象観測

ヘリウムガスを充填した気球により気象ゾンデを上昇させ、気圧・気温・湿度・風向風速の垂直分布を観測します。

基本観測棟でのゾンデ放球の様子

オゾン観測

オゾン層観測

ブリューワー分光光度計を用いて、太陽光または月光を受光して大気中のオゾン全量を観測します。オゾンの垂直分布を推定する反転観測も行います。

地上オゾン観測

オゾン濃度計により、地上オゾン濃度の連続観測を行います。

オゾンゾンデ観測

オゾンゾンデを用いて毎週1回程度、オゾン量の垂直分布を観測します。

基本観測棟の屋上に設置されているブリューワー分光光度計

日射・放射量およびエアロゾルの観測

日射計や放射計を用いて、短波放射および長波放射を観測しています。またブリューワー分光光度計を使用した紫外線観測や、スカイラジオメーターを使用したエアロゾルの光学的厚さ・粒径等の観測を行っています。

基本観測棟の屋上に設置された日射放射観測測器

天気解析

南極地域における各国の基地で観測・通報した地上及び高層気象観測データ、全球モデル、FAX天気図、気象衛星の雲画像等により天気解析を行い基地内外の活動を支援します。

その他の観測

大陸にある航空観測拠点における無人気象観測および、調査旅行中の気象観測を行います。

南極大陸のS17航空拠点に設置された気象測器