2013年から始まり、今年で5度目となるボードインフィヨルドでの海洋調査を行いました。
JAXAの水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)の観測データによると、9月9日に北極海の海氷息が年間最小面積(447.2万㎞2)を記録しました。
グリーンランド・ボードイン氷河およびフィヨルドでの観測終盤に、カナックの住民とワークショップを開催しました(2017年7月30日)。2016年に続いて二回目となるこのワークショップは、現地の研究協力者Toku Oshimaの発案と協力で実現したものです。
テーマ6の生物多様性課題では、昨年に引き続きベーリング海北部セントローレンス島で海鳥の生態に関する調査を実施しています。今年は7月中旬〜8月下旬まで極地研、北海道大学水産科学院、アラスカ大学フェアバンクス校から5名の研究者が入れ替わりながら現地エスキモーのガイド2名とともに調査を進めています。私自身は7月12日から28日まで現地入りして野外調査を行ってきました。
グリーンランド北西部のボードイン氷河における観測が無事終了しました。2017年の観測では観測隊が2つのチームに分かれ、それぞれが異なるベースキャンプを置く形で行われました。一方のチームは北海道大学の研究者5人とスイス連邦工科大学(ETH)の研究者1人からなり、氷河東縁部のキャンプを拠点にカービングフロントを中心とする氷上での観測を行いました。ETHから来た3人の研究者からなるもう一方のチームは、カービングフロントに面した小高い山の山頂部に第2キャンプ(通称Hill)を置き、レーダーとドローンを用いて氷河の流動を監視しました。今回の観測では各チームが互いにサポートしあうことによって、優れたチームワークを発揮することができました。
2017年6月8日から12日にかけて、スウェーデン北部のウメオで第9回北極社会科学国際会議ICASS IX(The Ninth International Congress on Arctic Social Sciences)が開かれました。当会議は、北極域に関する社会科学研究者の国際組織IASSA (International Arctic Social Sciences Association)の主催によるもので、現在のIASSA会長Peter Sköld氏の所属先で事務局の置かれているウメオ大学北極研究センター(ARCUM)が、同大学のサーミ言語・文化研究機関とともに組織しました。IASSA本体は、社会科学諸分野を横断する北極域研究者のネットワーク構築を目的として1990年に創設された国際組織で、三年周期で交代する事務局の本拠地で一度ずつ国際会議を開くことになっています。
北海道大学より、グリーンランドに関するTV放送のご案内をいただきました。
ArCSテーマ2、北大・杉山先生の調査チームの映像やインタビューが取りあげられるとのことです。
今週末(7/30)から全3回の予定です。詳細はこちらからご確認ください。
ArCS事務局
PACES (air Pollution in the Arctic: Climate, Environment and Societies) のワークショップが6月27-29日カナダのビクトリアで開かれました。約15か国から60名近い参加者がありました。近藤はニーオルスンにおける積雪、降雪中のブラックカーボン(BC)の濃度の観測結果の発表を行ないました。
平成28年度ArCS若手海外派遣制度の助成の下、海氷・海洋結合データ同化システム(TOPAZ4)の海氷データの情報収集、及び今後の研究計画に関する意見交換をするために、ノルウェーのナンセンリモート環境研究センター(NERSC)に2月6日から1週間滞在しました。NERSCはベルゲン大学の付属の研究施設として、北極海やその周辺海域における海洋・海氷動態に関する研究を衛星データの解析から海洋・海氷モデルの開発やデータ同化手法を用いた予測可能性研究まで幅広く展開している世界でも屈指の極域海洋研究所です。
私達の研究グループは、昨年に引き続き、東グリーンランド深層氷床掘削プロジェクト(EGRIP)に参加しています(昨年度の報告はこちら)。このプロジェクトは、グリーンランドの氷床・気候変動を明らかにすることを目的として、多くの国々が共同で氷床の掘削・観測を行っているものです。今年度、日本からは計7名の研究者・技術者・学生が交代で参加しています。今年から本格的な氷床の掘削が始まり、6月から8月まで滞在する私はこの期間中主に掘削された氷(アイスコア)の結晶組織の解析(物理解析)と掘削地周辺の雪・エアロゾルのサンプリングを行っています。