ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

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ArCSテーマ2「グリーンランドにおける氷床・氷河・海洋・環境変動」で実施している、グリーンランド北西部カナック地域における氷河・海洋観測活動を報告します。我々の観測グループでは6月末から8月末にかけて、カナック村の北側に位置するカナック氷帽の観測を行っています。カナック氷帽では2012年から表面質量収支と氷流動速度の継続観測を行っており、現地観測が不足しているグリーンランドの北西部において貴重なデータを研究コミュニティに提供しています。氷帽上には6つのサイトを設けて気象測器やタイムラプスカメラを設置し、氷河の融解量や表面状態の変化を記録しています。今夏は例年と比べて非常に気温が高く、近年その質量を失いつつあるカナック氷帽にどのような影響を与えるのか、注意深く観測を行っています。

2019年7月1日(月)~2日(火)にカナダ・ケンブリッジベイのCHARS(カナダ極北研究ステーション)で「Canada-Japan Future Collaboration Workshop on Arctic Environment based at Canadian High Arctic Research Station (CHARS) Campus」(※英語ページ)と題するワークショップを実施しました。このワークショップは、ArCS国際連携拠点のひとつでもあるPOLAR(カナダ極地知的基盤機構)(※英語ページ)と共同で、カナダ・ヌナブト州ケンブリッジベイの周辺地域における日本・カナダの共同研究について情報交換するとともに、現地住民も含めた両国の協力体制を強化することを目的として開催されました。

野外観測を実施する研究者にとって、天気予報は計画の立案・実施および安全対策を考慮するのに必要不可欠な情報です。しかし、気象予報センター(プロバイダー)から提供される情報は常に不確実性を伴うため、ユーザー側はそれを理解した上で活用する必要があります。一方、ユーザー側は予報に必要な観測データを気象センターに提供することで、数値予報の初期値とモデルの精緻化と予報の不確実性の低減に貢献しています。このようにプロバイダーとユーザーは相補的な関係にありますが、ユーザー個人レベルではプロバイダーに効果的に情報を伝達できていなかったのが実情です。

2019年4月22日(月)、JAMSTEC横浜研究所において第3回若手研究者海外派遣報告会が行われました。

本報告会では、2018年度のArCSによる若手研究者海外派遣事業によって派遣された中・長期派遣者(是沢(東北大)、徳弘(北海道大)、西澤(横浜国大)、石田(新潟大))、大学院生短期派遣者(繁山(総研大)、坂本(東京大)、幡谷(神戸大))が派遣成果の報告、学会への参加となった実務者短期派遣者(藤田(日本郵船)、杉山(三菱電機)、安部(函館国際水産・海洋都市推進機構)、深谷(商船三井)、夫津木(パスコ)、山崎(ESRIジャパン))がパネルディスカッションという形でそれぞれ発表を行いました。

私は2019年4月8日から4月13日の約一週間にかけて、アメリカのワシントン州シアトル市に位置するアメリカ海洋大気庁(NOAA)アラスカ水産科学センターを訪問してきました。

私は今渡航で自身の研究を進める上で大きな支障となっている仔稚魚(魚の赤ちゃん)の種同定に関する技術を習得することを目的とし、北洋の仔稚魚分類に関する国際的な第一人者であるMorgan Busby博士に直接の指導を賜りました。

2018年10月29~30日にかけて、北極評議会のSDWG定例会合がフィンランド議長国のもと、同国ロバニエミにて開催されました。16か国15機関から約90名が出席しました。会期中、SDWGプロジェクトの実施担当者より進捗状況についての報告がテーマ別に行われました。