第62次南極地域観測行動計画の決定について

2020年11月2日

11月2日(月)に開催された第157回南極地域観測統合推進本部総会において、新型コロナウイルスの状況下における第62次南極地域観測行動計画が決定しました。

文部科学省からの発表はこちらからご覧ください。

第62次南極観測地域観測行動計画について

新型コロナウイルスの状況下における第62次南極地域観測に関する基本的な考え方及び対応方針を踏まえた第62次南極観測地域観測行動計画を決定し、11月20日に日本を出港し、昭和基地に向かい、復路においても昭和基地から他国に寄港せず日本に戻る「A(基本プラン)」を実施することとしました。なお、今後状況が好転しても準備の都合等により変更は行いません。

第62次南極観測地域観測隊および「しらせ」行動計画

当初計画及びオプションプランとの比較
事項 当初計画 A(基本プラン)
しらせ運航可能な場合
A+α(オプションプラン)オーストラリアに寄港でき、燃料補給等が可能な場合
観測隊の行動区分 本隊・別動隊・先遣隊で構成 本隊のみ 本隊のみ
DROMLANの利用 利用 緊急時対応を除き計画しない 緊急時対応を除き計画しない
観測隊ヘリ チャーターする チャーターしない チャーターしない
「しらせ」の行動計画

【往路】日本⇒豪・フリーマントル(燃料補給・ 観測隊乗船)⇒昭和基地

【復路】昭和基地⇒豪・シドニー(燃料補給・ 観測隊下船)⇒日本

日本⇒昭和基地⇒日本
(他国に寄港しない(燃料補給しない)ことを前提に、日本-基地間を単純往復)
日本⇒昭和基地⇒フリーマントル(燃料補給等)⇒南大洋(海洋観測)⇒シドニー⇒日本
行動日数(うち、昭和基地沖行動日数)
151日(48日) 95日(33日) 146日(40日)
隊員編成 80名(越冬隊35+夏隊45)
※さらに、同行者23名を予定
44名(越冬隊31+夏隊13) 50名(越冬隊31+夏隊19)
当初計画を100%とした場合の活動割合 100% 60% 72%
往路の行動計画に大幅な変更が生じた場合の対応について 

往路において行動計画に大幅な遅れが生じた場合は以下の通り対応することとします。これら以外の対応や判断を要する場合は、南極観測統合推進本部連絡会において、対応内容の審議・決定がなされます。

1. 日本に帰港して人員の交代や検疫等必要な措置を施し、可能な限り「しらせ」による越冬隊員の交代を追求する。
2. 隊員交代が不可能な見込みとなった場合には、「しらせ」による第61次越冬隊の収容のみを行う。
3. 「しらせ」による収容が出来ない場合は、他国船・航空機による収容を行う。

第62次南極観測地域観測隊の新型コロナウイルス感染症対策

国立極地研究所に設置した「南極観測COVID-19対策WG」での計8回に亘る検討を踏まえ、第62次南極地域観測隊の新型コロナウイルス感染症対策として以下の対策を決定、実施しています。

国内準備段階(出発前)の対策 

1. 感染リスクを最小化するため、観測隊編成を最小限とする。
2. 準備期間中の健康管理及び感染確認検査を徹底する。
3. 「しらせ」乗船は日本で行うこととし、乗船前に2週間の隔離期間を設け、PCR検査を経たうえで、新型コロナウイルス非感染を確認のうえ乗船させる。
4. 隔離期間前後に感染が確認された場合に備え、欠くことが出来ない職種については交代要員を準備し、同様に検疫措置をとる。

≪具体的な対策≫

●観測隊員の出発前対策

1. 健康管理:7月以降、医療隊員(医師)が観測隊員の体温や症状の有無を毎日チェックしてきた。
2. 乗船前の隔離措置:11/6-11/20の間、隊員一人一人を個室で隔離。
3. 乗船前PCR検査:計3回のPCR検査を観測隊員全員に実施。①10/19、②11/6(隔離開始時)、③11/16(隔離終了前)。加えて、3回目で陽性者が出た場合に、偽陽性対策として、当該者に対してのみ4回目を実施する。

●「しらせ」乗員の出発前対策

1. 船上隔離措置:11/4-11/20の間、船上で外界から隔離する(11/6から洋上隔離)。
2. PCR検査:計2回のPCR検査を乗員全員に実施。①11/5(洋上隔離前)②11/12(洋上隔離終了前)。

行動開始後の対策 

1. 船内での感染拡大を少しでもコントロールするために、隔離エリアを設けるとともに、船室は基本的に1人部屋とする。
2. 船内で感染が疑われた場合には抗原検査を実施し、感染の有無を判断する。
3. 観測隊員か「しらせ」乗員かに関わらず船内で感染者が確認された場合は、船内で感染が流行しているものとみなし、当該航海を中断する措置をとる。

第62次南極地域観測隊員の追加決定について

2020年9月18日

このたび、南極地域観測統合推進本部連絡会において、第62次南極地域観測隊員のうち28名が追加決定しました。橋田隊長(兼夏隊長)、阿保副隊長(兼越冬隊長)、金子副隊長(兼夏副隊長)を始めとする既決定者を含めて、現時点で夏隊13名、越冬隊31名、交代要員5名が決定しています。6月29日の第156回南極地域観測統合推進本部総会において決定した「新型コロナウイルスの状況下における第62次南極地域観測に関する基本的な考え方及び対応方針」におけるオプションプランに参加する夏隊員については、11月に開催する第157回南極地域観測統合推進本部総会においてオプションプランの実施が決定した場合に合わせて決定する予定です。

文部科学省からの発表はこちらからご覧ください。

第62次南極地域観測隊員名簿(2020年9月18日時点)

観測隊名簿はこちらをご覧ください。

第62次南極地域観測隊員の決定等について

2020年6月29日

文部科学省で6月29日(月)に開催された第156回南極地域観測統合推進本部総会において、新型コロナウイルスの状況下における第62次南極地域観測の基本的な考え方及び対応方針と、隊員のうち18名が決まりました。

文部科学省からの発表はこちらからご覧ください。

第62次南極地域観測の基本的な考え方及び対応方針

新型コロナウイルス対応の基本的な考え方 

1. オゾンホールの発見等、世界的に重要な成果を上げ、地球環境変動の長期連続観測を行ってきた南極地域観測事業の継続を目指す。

2. 昭和基地での越冬及び観測継続のため、「越冬隊の交代」と「物資の輸送」を基本とする。その他の計画については支障のない範囲に絞り込む。

3. 不確定要素を可能な限り排除し、基本的な行動計画は、他国を経由しないものとする。状況の改善が見られた場合のオプションを準備し、今後の状況変化を注視しつつ、当初計画のうち可能な部分の実現を目指す。

4. 観測隊員及び「しらせ」乗員の安全を確保するため、適切な感染防止対策を講じつつ、「しらせ」及び南極での発生防止を徹底する。

5. 「しらせ」が昭和基地まで到達できない場合の対応等についても、その時点の状況に応じて判断する。

基本的な考え方に基づく対応方針について 

例年と今年度との基本的な対応方針の相違は以下のとおり。

事項 例年の場合 今年度(第62次計画)
検疫期間等 設けていない
(6月の隊員決定前に健康診断を実施)
・乗船前に2週間の検疫期間を設ける
・検疫期間前後に感染が確認された場合に備え、交代要員を用意(健康診断は例年通り実施)
隊員の「しらせ」乗・下船地 乗船(往路):フリーマントル(豪)
下船(復路):シドニー(豪)
※日ー豪 間は民間航空機で移動
日本(横須賀)
観測計画等の決定 6月開催の本部総会で、観測計画等を決定 ・6月の本部総会では「基本プラン」と「オプションプラン」により準備を進めることを決定
・最終決定は11月の本部総会で行う
出発前の本部主催壮行会 11月に開催 開催しない
第62次南極地域観測の対応方針に基づく基本プラン等について 

対応方針に基づく、行動計画の「基本プラン:A」と「オプションプラン:A+α」は以下のとおり。

事項 当初計画 A(基本プラン)
しらせ運航可能な場合
A+α(オプションプラン)
オーストラリアに寄港でき、燃料補給等が可能な場合
観測隊の行動区分 本隊・別動隊・先遣隊で構成 本隊のみ
DROMLANの利用 利用 緊急時対応を除き計画しない
観測隊ヘリ チャーターする チャーターしない
「しらせ」の行動計画 【往路】
日本⇒豪・フリーマントル(燃料補給・ 観測隊乗船)⇒昭和基地
【復路】
昭和基地⇒豪・シドニー(燃料補給・ 観測隊下船)⇒日本
日本⇒昭和基地⇒日本
(他国に寄港しない(燃料補給しない)ことを前提に、日本-基地間を単純往復)
日本⇒昭和基地⇒フリーマントル(燃料補給等)⇒南大洋(海洋観測)⇒シドニー⇒日本
行動日数
(うち、昭和基地沖行動日数)
151日
(48日)
95日
(30日)
146日
(40日)
隊員編成 80名
(越冬隊35+夏隊45)
※さらに、同行者23名を予定
43名
(越冬隊31+夏隊12)
50名
(越冬隊31+夏隊19)
当初計画を100%とした場合の活動割合 100% 60% 72%

第62次南極地域観測隊員名簿

観測隊名簿はこちらをご覧ください。