2024年12月27日
2024年11月26日(火)13時50分(日本時間19時50分)頃、野外行動を行っていた第65次南極地域観測隊の調査隊が乗った雪上車1台が、海氷を踏み抜き水没する事故が発生しました。搭乗者3名は自力で脱出し、けが人はいませんでした。
水没に伴う燃料等の流出可能性に関しましては、南極における国際的なルールに基づき、12月26日に南極観測実施責任者評議会(COMNAP)に対し報告しております。
11月25日~26日の間、昭和基地の南方約30kmに位置するラングホブデ・雪鳥沢にて、観測機器保守点検等を目的とした6名のチームが野外活動を行っていました。所定の行動を終えて昭和基地への帰途につき、昭和基地南方約26kmの海氷上を雪上車2台に3名ずつ分乗して走行中に、先頭車両の後方約500mを走行していた後続車両が、海氷を踏み抜き、水没し始めました。搭乗者3名は速やかに脱出しましたが、雪上車は牽引していた橇とともに水没しました。
事故後の調査により、事故現場周辺の海氷の厚さが周囲より顕著に薄くなっていたことが直接の原因であると考えています。
現場は水深が約150mあり、水没した雪上車や橇などの回収は不可能と判断しています。燃料を搭載したドラム缶など一部の物資は水面に浮いていますが、周囲の海氷が薄く接近が不可能であるため、現時点での回収は困難となっています。
南極の夏期間は、現場周辺の海氷が融解し近づくことが不可能なため、ヘリコプターや無人航空機等を使用して現場周辺の状況の監視に努めます。また、冬期間に入り、事故現場に近づくことが可能となった場合の水没した物資以外の未回収物資の回収や、海水採取等による環境影響調査の実施を検討します。
国立極地研究所では、今後このような事故が発生しないよう、原因究明と再発防止、安全管理の徹底等に努めるとともに、環境への影響について調査を進めてまいります。
国立極地研究所南極観測センター 宮本・豊田
ant-pact@nipr.ac.jp