南大洋における大気エアロゾルの負荷量および大気海洋間交換量の船上観測

課題番号:AH1005
代表者:小林 拓(山梨大学)

観測概要

大気中を漂う微粒子は大気エアロゾルと呼ばれ、その成分や性質により地球システムの中で様々な役割を果たしています。南極大陸を取り巻く南大洋の上空にも大気エアロゾルが浮遊しています。この大気エアロゾルは、遠くから風で運ばれてくるものや、海から舞い上がるものがあります。大気を漂うエアロゾルは、太陽から届く日射をキラキラと散乱し、宇宙に戻してしまうことで気候に影響を与えると考えられています。また、大気エアロゾルが核となり生まれる雲粒も太陽光をよく散乱させます。

大気エアロゾルの中でも鉱物粒子からなるエアロゾルが海に落ちると、その成分が溶けだします。南大洋はミネラルが不足して植物プランクトンが十分に成長できない状態ですが、この鉱物粒子から溶け出したミネラルが植物プランクトンの成長を促します。植物プランクトンは海の生態系の出発点であるとともに二酸化炭素を取り込むので温暖化の観点からも重要です。そこで我々は、南大洋にどの程度大気エアロゾルが浮遊しているのか、さらにどの程度海に落ちたり、海から舞い上がったりしているのかを調べるため、様々な測定機を南極観測船「しらせ」に設置し観測を実施します。

観測全体のイメージ。南極観測船「しらせ」において、海洋へ落ちる鉱物粒子の量や海洋から巻き上げられる海塩粒子の量を測定します。

船舶用オリオールメータ。太陽とその周囲から届く光の強さを測定します。