極域の地殻進化の研究

課題番号:AP0936
代表者:外田 智千(国立極地研究所)
実施期間(隊次):63次

大陸地殻の岩石からなる南極大陸はかつて、インドやスリランカ、アフリカなどの大陸とくっついて、非常に大きな超大陸ゴンドワナを作っていました。超大陸はのちに分裂して、現在のような離れた大陸分布になりました。なぜ、超大陸ができ、それが分裂したのでしょうか。それはいつでしょうか。また、大陸地殻は太陽系の惑星の中で地球にしかありません。なぜ、いつ、どのようにして地球に大陸地殻ができたのでしょうか。本プロジェクトは、このような疑問に答えるための研究です。日本の南極観測の範囲には、地球46億年の歴史のうちの38億年前以降の大陸地殻岩石が分布します。このため、南極は本プロジェクトに最適な研究地域なのです。

観測では、南極大陸の沿岸の岩石が現れている場所にヘリコプターで物資とともに運んでもらい、野営と徒歩で地質・岩石をくまなく調べて回ります。また、分析用の岩石試料を採取し、日本国内に持ち帰って化学分析、同位体分析、年代測定などをおこなって、岩石に記録された過去の履歴を明らかにし、地域ごとの歴史を、最終的には南極大陸と地球の歴史を探ります。

1次隊以来、南極での地質調査は長年おこなわれていますが、帰国後の研究の進展、科学・技術の進歩、調査方法・移動方法の進化が年々進み、それらに基づいた新たな視点・目的を持った調査の積み重ねが必要です。これによって地球の歴史が少しずつ明らかになってきています。

今から5億年前の大陸配置と南極大陸の地質

露岩域の地質と調査の様子(撮影:北野一平)

岩石試料の採取(撮影:北野一平)