降水レーダーを用いた昭和基地付近の降水量の通年観測

課題番号:AP0934
代表者:小西 啓之(大阪教育大学)
実施期間(隊次):62次、63次

昭和基地で降水レーダーを用いた通年観測を行い、南極氷床を涵養する降水量を求めること、降水システムの風系を含めた特徴を知ること、ブリザードの構造を知ることが、本プロジェクトの目的です。

南極での降水量の測定は、低温強風下であることが多く、日本で行われているような雨量計では測定器に雪がほとんど入らないため、仮に測定器が正常に動作しても測定が難しく、ほとんど使用されていません。本プロジェクトで用いるレーダーによる測定は、レーダーの反射強度から降水量を推定する方法なので、間接的手法ながら、低温強風の条件下でも連続的に測定できる利点があります。また、使用する降水レーダーは、風速も測定できるドップラーレーダーであり、分解能は60m、1回転2秒と高速に回転することから降水システムの細かい時間変化を観測することが可能です。また、水平回転、鉛直回転の2つのレーダーを同時に使用するので、立体的な構造を知ることもできます。したがって、降雪量を求めるために反射強度のデータを利用するだけではなく、降雪時の風速分布の時間変化の詳細な観測データを用いて地吹雪、ブリザードなどの風を伴う現象の発生から消滅までの構造の変化を知ることができると期待されます。

極地研でのレーダーレドーム(直径6.1m、高さ3.7m)仮組みのようす

レーダーアンテナ(左:鉛直回転、右:水平回転、アンテナ長2.8m)仮組みのようす