氷床・海氷縁辺域の総合観測から探る大気-氷床-海洋の相互作用

課題番号:AJ0902
代表者:青木 茂(北海道大学)

浮沈式係留ブイ投入の様子

南極の氷床-海氷-海洋システムは、地球規模の海面水位、海洋大循環、気候形成に対して重要な役割を果たしていて、このシステムの鍵を握る海洋の役割は注目を集めています。近年の研究により、西南極氷床の融解加速と海洋の役割が注目を集める一方、東南極の氷床-海氷-海洋システム間における相互作用の地域的相違と、十年規模から数百万年規模の時間変動の存在が明らかになりつつあります。本プロジェクトは、「しらせ」の機動的な利用と、最新の無人観測装置等を活用した分野横断的観測研究によって、これらの実態を解明します。

具体的には、東南極において棚氷融解が顕著とされるもののこれまでに観測がなかったウィルクスランド沖(東経90~150度付近)において観測を実施すると同時に、それとは対照的な白瀬氷河周辺域(昭和基地周辺域:東経35~40度付近)を舞台とした氷床-海氷-海洋相互作用の素過程の詳細な把握を目指します。また、昭和基地周辺域に見られる定着氷や氷河氷舌の十年規模変動、および海洋経年変動の実態と関係性を明らかにします。これまでの氷床-海氷-海洋観測研究の進展の上に、無人観測装置および測地学的手法を活用した分野横断的観測を加えることで、東南極気候システム理解のブレークスルーを目指しています。

本プロジェクトの対象範囲

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