エアロゾル・雲の観測

課題番号:AMP0902
代表者:平沢 尚彦(国立極地研究所)

私たちはエアロゾルと雲について3つの観点から研究しています。

1つは、その放射効果による地球の気候形成への影響です。昭和基地は地球規模の観測ネットワークの極地観測拠点として、対流圏・成層圏に現れる放射体位置や性質の連続観測を実施しています。

2つめは気候系における水循環、3つめは物質循環の観点です。水循環は地表から大気への蒸発と、大気から地表への降水が対になった現象です。降水は、エアロゾル粒子が核となって雲粒子を形成し、雲が降水へと成長したものです。エアロゾル粒子は地表面から大気に直接放出されたものと、大気に放出された気体が大気中で粒子化したものがあります。水循環が成立するためには、大気中にエアロゾル粒子が存在し、雲形成、降水形成へと向かう過程が成立する条件が必要です。エアロゾル粒子や雲粒子の物理・化学特性が変化すれば、地球の降水量や降水分布などの水循環の特徴は変わります。

エアロゾルの一部は雲核となり降水とともに発生源とは違った地表に移動します。降水に関わらなければ、さらに遠くまで移動します。一旦成層圏に入ってから地表に戻ってくるものもあります。エアロゾルの移動は大気を通過経路とする物質循環であり、その移動範囲は地球全域に及びます。ドームふじなどのアイスコアの気候シグナルはこのようなエアロゾルの移動によって作られます。

昭和基地全天雲カメラデータ

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