しらせ搭載全天イメージャーによる海洋上からのオーロラ・大気光観測実証

課題番号:AAS6103
代表者:坂野井 健(東北大学)
実施期間(隊次):61次隊

夜空を彩るオーロラは、最も美しい自然現象の一つです。オーロラは、北極と南極のどちらにも現れますが、見ることができる場所は限られています。南半球では昭和基地など南極大陸や陸地で観測されていますが、実はオーロラの大部分は海の上で光っています。

「しらせ」は、その真下を航海するのでオーロラの観測に最適です。しかし、オーロラの光は暗く、観測には長時間露出が必要なため、船の揺れにより画像がぶれてしまいます。このプロジェクトでは、船の揺れを抑えることができる姿勢安定ジンバルに、小型高感度全天カメラを載せて、「しらせ」船上からオーロラ観測を行っています。

このカメラは、オーロラに加えて、大気光と呼ばれる高度約300kmの肉眼では見ることが出来ない、かすかな発光を捉えることができます。2019年11月12日の出港以降約4ヶ月、この装置は順調に観測を続けました。とくに、2020年2月末から3月はじめにかけて、オーロラ発光を捉えることに成功しました。

2020年11月から翌年3月の観測には、高度100kmのオーロラ発光を観測できるカメラを新たに追加します。この2台のカメラから高度300kmと100kmの二つの高さのオーロラを同時に捉え、高度数百kmの熱圏と呼ばれる大気の変動現象や、宇宙から降り注ぐエネルギー変動の解明を進めていきます。

南半球のオーロラとしらせ航路((C) NOAAを改変)

しらせ甲板上にとりつけられた全天カメラ

しらせ全天カメラで観測されたオーロラ発光