ブラックカーボン及びメタンに関する第三回AC専門家会議が2016年10月25, 26日にアメリカのワシントンDCで行われました。アメリカ、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、AAC、ACAP、イタリア、日本、韓国、EU、ACから26名が参加し、日本からは、国立極地研究所の近藤 豊(特任教授)が出席し討議に参加しました。
8月22日から10月5日まで、JAMSTECの海洋地球研究船「みらい」の北極航海に北海道大学水産科学研究院から4名乗船してテーマ6に関する観測を行っています。我々の研究目的は、「豊穣の海」である北部ベーリング海のアナディール水塊の高い生物生産(主に魚、哺乳類や海鳥の餌になるプランクトンについて)がどのように維持されるのか、また、その生物生産の高いアナディール水塊が周辺海域の海洋生態系に及ぼす影響について解明することです。
ArCS平成28年度第1回プロジェクト全体会合を、2016年6月23日(木)海洋開発研究機構横浜研究所 三好記念講堂にて開催し、研究者をはじめとする約80名が参加しました。
プロジェクト参加者が一堂に会する場としては昨年11月のキックオフ全体会合以来2回目となった今回は、各実施メニューの成果や実施計画の発表に加え、国際共同研究推進メニューのテーマ7「北極の人間と社会」と他のテーマとの連携について3つのセッションを実施しました。
2016年「みらい」北極航海が北極域研究推進プロジェクト(ArCS: Arctic Challenge for Sustainability)のもとに実施され、8月22日から10月5日までの45日間にわたり北部ベーリング海及び北極海を中心として大気-海洋から生態系に及ぶ総合的な観測が行われました。
2016年は北極海全体では衛星観測史上2番目の最小海氷面積を記録しましたが、チュクチ海北部にはバロー沖からロシア海域にかけて海氷が残り (図1、写真1)、当初の観測計画は変更、あるいは中止を余儀なくされました。しかしながら、ユニークな海洋環境や生態系が維持されている海域は、海氷・気象状況の許す限り重点的に観測を行いました。このような海域は、近年の温暖化や海氷減少に大きく影響され、海洋環境や生態系が変わりつつあります。
2016年8月22日から10月5日にわたる海洋地球研究船「みらい」MR16-06次航海で実施した、北極海での環境変化が植物プランクトン群集に及す影響の調査に関してご紹介します。(テーマ4 「北極海洋環境観測研究」)
近年のグリーンランド氷床における質量減少は、海面上昇だけではなく地球規模の海洋循環や気候の急激な変化をもたらす要因として懸念されています。我々のグループでは、このようなグリーンランドの気候・氷床変動を明らかにするため、グリーンランド氷床北東部で実施される国際深層掘削計画(EGRIP)に参加してデンマークをはじめとする各国と共同研究を行っています。EGRIPで本格的なアイスコアの掘削が行われるのは2017年からの予定ですが、今年はその予備調査として6月末から1ヶ月間行われた現地観測に参加してきました。日本からのメンバーは私と、同じく国立極地研究所の中澤文男さん。アイスコア掘削予定地点周辺(75°62’68”N 35°99’15”W)において積雪表面および断面の観測を行いました。
大気の鉛直構造を調べるため、1日4回のラジオゾンデ観測を実施しています。
ラジオゾンデ観測は、大気循環を把握するだけでなく、北半球の天気予報の精度を向上させています。
セントローレンス島はベーリング海北部に位置していて、およそ200万羽の海鳥が生息しています。今回、私たちは、まだあまり調査がされていないこの地域で海洋高次捕食動物の研究プログラムを開始し、ここで繁殖する海鳥の生理・生態を明らかにする目的で野外調査を実施しました。
ボードイン氷河の観測からカナックに戻り、現地で暮らす人々とのワークショップを7月25日に開催しました。このワークショップの目的は、カナック村の人々に研究の成果を説明し、環境変化が彼らの生活に与える影響について学び、カナックの持続可能な将来について議論を行うことです。現地の人々は英語が通じないことも多いため、英語とグリーンランド語の通訳を準備し、宣伝用のポスターも現地語表記のものを用意しました。
バロー沖付近で発達した低気圧に遭遇しました。
「みらい」では海面気圧の急激な低下を観察し、風速18m/sを超える強い風が吹いていました。
強い風で海は大荒れとなり、波高は4mを超えました。