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出張授業・樹徳高等学校

2023年8月7日(月)に、群馬県桐生市の樹徳高等学校の1、2年生を対象に、専門家から最先端の研究について学ぶ理系高大連携講座の一環として、「気候変動 今こそ知っておきたい!地球温暖化って何?」と題した、地球温暖化のメカニズムや将来予測について考える出張授業が行われました。講師の関澤 偲温氏(東京大学 先端科学技術研究センター)による実施報告を掲載します。


この出張授業では、人類全体の課題である地球温暖化をテーマに、温室効果による気温上昇のメカニズムや温暖化予測と天気予報との違いなどを解説しました。主体的・探究的な学びを重視し、一方的な講義にならないよう、グループワークの時間も多く設定しました。

講義の前半では、地球が太陽から貰うエネルギーと宇宙空間に返すエネルギーとのつり合いから、温室効果について考えてもらいました。2021年にノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎先生の研究も紹介しながら、大気中の温室効果気体が地表付近の気温を高く保っていること、温室効果気体の増加がその働きをさらに強めることを学びました。その後のグループワークでは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公開している気温や海氷の将来予測を見ながら、場所や季節による温暖化の違いについて自由に考察する時間を設けました。北極域で特に温暖化が大きい点については、すべてのグループが気づくことができました。

講義の後半では、10日先の天気予報も当たらないのに温暖化予測ができるのはなぜかという疑問から、天気予報と温暖化予測との違いについて学びました。グループごとに表計算ソフトを用いた簡単な計算を行い、天気予報の難しさ(カオス的性質)を体験してもらいました。最後に、地元桐生での気象観測データを示し、過去50 年間で夏の気温が特に上昇していることを確認し、複合的な要因により引き起こされる猛暑と長期的な温暖化傾向との関係をどのように理解すればよいかを話しました。高大連携講座の機会を活かし、高校での学習を発展させる授業を提供することができました。

学校・団体名 樹徳高等学校(群馬県桐生市)
対象 1年生、2年生の希望者
実施日 2023年8月7日(月)
講師 関澤 偲温(東京大学 先端科学技術研究センター)
活動内容 関澤氏による講義とグループワーク(150分)
参加人数 20名
参加者からの声 ・講義の内容が分かりやすく、身近な気象のことから大きなことまで体験的に学ぶことができました。

・地球温暖化の予測は大量のデータを処理して導き出されたものだと知り、コンピューターが無かった数十年も前の時に予測できた事実にとても驚きました。

・地球温暖化は、日常生活の中で暑い日が続き日差しが強くなっていることが原因なのではと思っていましたが、そうではなく、実際どのようなしくみで地球が温まってしまうのかを知ることできて良かったです。

・地球温暖化が進む原因である二酸化炭素が増えるとなぜ地球温暖化につながるのか、なぜ二酸化炭素削減が求められているのか、その理由が分かりました。

・特に印象に残ったところは、北極が一番温暖化するスピードが速いということです。一見、寒くて一番温暖化が遅そうと思っていた場所が、実は一番速いという事実を知って衝撃を受けました。

・カオス理論が興味深かったです。天気予報が当たらない理由が科学的に分かりました。

・私は地球温暖化と聞くと、SDGsや南極融解や海面上昇など薄いイメージしか湧いてきませんでした。今回の講義を受けて、地球温暖化が発生する原因はどう考えられているのか、またどのように予測してきたのかなど、私にとって新しい視点で知識を得ることができました。