地球システム変動の解明を目指す南極古環境復元

課題番号:AJ0903
代表者:川村 賢二(国立極地研究所)

南極大陸を厚く覆っている氷は、雪が押し固められてできているため、過去の環境や空気が連続的に保存されています。最近、その氷が減ってきているのではないかと疑われています。本プロジェクトでは、南極大陸の内陸から沿岸付近にかけての雪や氷、地形、地層などの調査を行い、過去に起こった南極域の環境変動の復元を進めています。

雪や氷の観測では、現存する最古のアイスコア(80万年)より古い年代まで遡るアイスコアの掘削を目指し、新たな掘削点の探査や、掘削拠点の設営に向けた輸送などを実施するとともに、過去数千年の涵養量などを知るための掘削を行っています。これまでに、米国およびノルウェーとの共同観測を含むレーダー探査などを複数回行い、ドームふじ周辺における氷床下の地形や内部層、表面質量収支などが詳細に明らかになってきました。

地形や地層については、内陸山地や沿岸域の氷河地形や、湖・海底などの地層の調査から過去の南極氷床の変動とそのメカニズムの解明を進めています。これまでの研究によって、過去に起きた南極沿岸域での急激な氷床融解や南極内陸部の氷床変動の原因が明らかになりつつあります。これらのデータは、現在進行中の南極氷床融解の理解や、将来の海面上昇予測の高精度化に繋がっていくことが期待されます。

本プロジェクトの内容と対象範囲の概念図

60次での国際共同内陸調査のベースキャンプ

南極の凍結した湖上からの堆積物掘削風景

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