サルイット・リサーチ・ステーションから北東の海岸のほうに延びる道を歩きつつ、向かい風(北東風)のそよ風を受けてリフレッシュできました。石ころがちな道にかぶさるようにちょっとした斜面があり、その下半分ほどは草が繁茂する草原でした。
冷たいけど風が強くないのが救いの朝、装備を整えます。
サルイットはツンドラの地で、どんな特徴があるかというと、まず永久凍土、そして、一日中明るいけど短い夏、それに対して一日中暗い「極夜」の長い冬、年間を通してそう多くない降水量、強風、冬の吹雪、途切れがちな植生、それに影響する不安定な湿った土壌と、その原因となる永久凍土の凍結・融解などです。
この度、広島大学大学院生物圏科学研究科のソロモン諸島からの留学生、メリーさんが、ArCSのカナダ亜北極サルイット調査に同行させて頂きましたので、「南の島」の留学生による新鮮や印象や驚きなどを綴ってもらいます。和訳は私が頑張ります、どうぞ宜しくお願い致します〔広島大学 長沼毅〕。
本年の北極サークルでは10月14日にJapan Night(日本主催のパーティーイベント)が行われました。それに先立って、同じ会場でより学術的なJapan Sessionを17:30から19:00にわたって開催されました。テーマはThe Arctic as the Field of SDGsとし、科学的研究が持つ北極域の持続的発展への貢献を議論しました。セッションは小職の解題と井出北極大使の挨拶に続いて、自然環境全般の予測に関して羽角教授が、社会経済の側面から北極航路活用について大塚教授が、自然環境の変化と先住民の生活様式の変化について高倉教授がそれぞれまとめを行いました。それを受けてLarry Hinzman教授(University of Alaska, Fairbanks, UAF)とICE-ARCコーディネーターのJeremy Wilkinson教授(British Antarctic Survey, BAS)がArCSを中心とする日本の北極研究についてコメントし、参加者からの質問、議論の時間を持ちました。
北極評議会PAMEワーキンググループの2018年第1回総会が、カナダのケベック市で開催されました。PAMEは毎年2回のWG総会を開始しており、毎年1~2月に開催される第1回目では、その後に開催されるSAOへの活動報告を中心に、専門家グループが進める複数のプロジェクトの進捗、新規プロジェクト提案、関連WGとの連携、IMOやUNなど外部関連機関との連携状況等について審議、情報共有を図っています。
北極圏海鳥専門家グループ(CBird Group)は北極圏動植物相保存作業部会CAFFの専門家グループとして、北極圏で行われている海鳥の研究や保全に関する情報交換やコーディネーションを目的とした会合を毎年行っています。今回の会合において、私は日本が太平洋側北極(セントローレンス島)で行っている5種の海鳥の渡り経路追跡の予備的結果を発表しました。
今回はアメリカが議長国となって2回目の会合でした。会議はアラスカのフェアバンクスからバスで1時間ほど離れたChena Hot Springs Resortで行われました。通常は先住民のコミュニティでの実施ですが、今回初めてリゾート地での実施となりました。バスで移動する際に5頭のムースを見ることができ、生物好きのメンバーにとっては、良いスタートとなりました。
AMAP Short-lived Climate Forcers Expert Group (SLCF EG)のSLCFに関する評価報告書を取りまとめるための会議が1月29-31日フィンランドのヘルシンキで開かれました。約15か国から40名近い参加者がありました。
SLCF評価報告書の内容として、日本としてブラックカーボンの高精度測定および気候モデルにより貢献することを講演し、多くの参加者からの理解を得ました。この観測には、これまで行われてきたニーオルスンに加え、アラスカのバロー、ロシアのバラノバ、カナダのアラートも含まれます。BC観測を国際共同研究として行っている点で、好感をもって受け止められました。またこの貢献に対する期待も大きいと思います。
今回のGEO本会合で設定されたGEO-weekでは、文科省、JAXA、JAMSTEC、NIES、NIPR が中心となってJapanGEOブースが設けられました。ブースのテーマは「有用さを重視しての日本のGEOSSへの貢献」でした。