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カナダ・エルズミア島の氷河後退域における土壌微生物群集遷移に関する野外調査
∼地球温暖化に伴う北極圏生態系変化の解明に向けて∼

若手人材海外派遣プログラム参加者:2022年度第1回短期派遣
仲 美凪(横浜国立大学)

カナダのクイーンエリザベス諸島に位置するエルズミア島に滞在し、高緯度北極圏の温暖化に伴う土壌微生物群集遷移の解明に向けた陸上生態系の調査を行いました。

調査地エルズミアの風景

調査を行ったArklio氷河の後退域周辺は、高緯度北極圏であるにも関わらず、植生が豊かに発達しています。本調査でも何百年もの歳月を経て地を這うように成長してきたヤナギや日本では高山の限られた場所にしか生息していないチョウノスケソウなど多くの植物が観察されました。今回の調査では、形成年代の異なるモレーン(氷河後退時に形成される堆積物)での土壌サンプリングを行いましたが、年代が古くなるほど土壌が深くなり、植生が豊かになる生態系の勾配に生命の力強さを感じました。

後退を続けるArklio氷河

一方で、現地調査中は、近年急速に進行する地球温暖化の影響も強く感じました。最高気温が20℃を超えていることや氷河先端が19年前の調査から100 m以上後退している様子には衝撃を受けました。この現状を目の当たりにしたものとして、地球温暖化による北極圏の急速な変化を発信していかなければならないと思っています。

キャンプ地風景

また、調査中のキャンプ生活も貴重な体験でした。2週間の間、ネット環境、お風呂、トイレがない生活は当初想像していたよりも不便ではありませんでした。特にスマホやインターネットを見ない生活はよかったです。頭が整理されて視力も回復したように思います。ただ、大量の蚊との戦いは大変でした。電気ショックによって蚊を除去できるラケットが非常に役立ったので、これから北極圏へ行かれる方の参考になればと思います。

晴れた日のエルズミア島の幻想的な美しい風景は忘れることができません。最後になりますが、ArCS II若手人材海外派遣プログラムのご援助、そしてサポートいただきました関係者の皆様には深く感謝申し上げます。

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