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AsiaFlux 2022への参加

若手人材海外派遣プログラム参加者:2022年度第1回短期派遣
落合 悠介(信州大学)

ArCS II 若手人材海外派遣プログラムによる支援をいただき、マレーシアのクチンで行われたAsiaFlux 2022に参加しました。AsiaFlux 2022では、渦相関法などの手法により、陸域生態系と大気との間の温室効果ガスやエネルギー(熱)などの輸送を測定した最新の研究結果が報告されました。私は、北極域に関連する研究の情報収集と自身の研究のポスター発表を行いました。ポスター発表では、アラスカ北方林における対流性降雨に対する森林火災後の地表面変化の影響について、これまでの研究結果や考察を発表しました。大気境界層の温湿度や高度がモデルによりおよそ再現されており、降雨発生タイミングが平均的に再現された点やボーエン比の変化に対するモデルの感度分析により、森林火災後のボーエン比の小さなシラカバ若齢林サイトでは雲生成や対流性降雨の頻度が増加した点を発表しました。

ポスター発表などでの他の研究者の方々との議論を通して、私の研究への指摘やアドバイスが得られました。例えば、ボーエン比の変化に対するモデルの感度分析の際には、サイト間の純放射の違いを考慮すべきではないかという点や使用したモデルが熱帯などの他の場所でも適用できるのかという点が挙げられました。これらも踏まえ、火災前後における降雨特性の違いや対流性降雨予測の的中率について今後の修士研究でまとめていく予定です。

AsiaFlux 2022でのポスター発表の様子

AsiaFlux 2022では、北方域の研究発表が数件なされており、北方域でのフラックス観測の潮流を知ることができました。また、森林の伐採や干ばつによる改変や作物のフェノロジーによるエネルギー収支の変化についての報告や、葉面積指数などの作物の変数と潜熱フラックスとの関係が示された報告がありました。これらの報告を踏まえ、自身の研究では、森林火災後の植生回復が潜熱・顕熱フラックスの変化に与える影響を考察する際の参考にしていく予定です。その他、エアロゾルと降雨の関係についても報告がありました。自身の研究では、使用したモデルにより雲生成や降雨が予測されても、それらが観測されないイベントがあります。この原因として考えられる雲の凝結核となるエアロゾルの影響をこの報告を踏まえて考察する際の参考にしていく予定です。

今回の派遣を通じて、海外の研究者との英語での議論や最新の研究の情報収集をすることができまして、刺激を受けました。この度は貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。

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