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カナダ・ケンブリッジベイでの渦相関法による大気-海氷間でのCO2と熱交換の観測

若手人材海外派遣プログラム参加者:2023年度第1回短期派遣
能城 太一(北海道大学)

海面の大部分を覆う北極海の海氷は、大気と海の間のCO2交換に大きな影響を与えています。そして海氷は地球温暖化によって融けてきています。そのため、将来のCO2交換の変化を予測するためには、この海域の熱交換を知り、海氷がどのように融けていくのかを理解することが重要です。そして、私はCO2交換の観測手法の改良及び炭素動態と熱動態(つまりCO2と熱の行方)の解明について研究しています。そのために、今回私は、北極海に面しているケンブリッジベイという場所で、大気と海氷の間のCO2と熱の交換の様子を観測しました。

活動拠点となったCHARSは施設も整っており、居住環境も北極圏での観測としては格別に良かったです。周辺にはスーパーなどもあり、食料や工具などの物資の補給も可能でした。

(写真1)観測拠点のCHARS(Canadian High Arctic Research Station)
(写真2)観測サイトR2の様子

観測現場まではスノーモービルで30分程度の道のりなのですが、海氷の起伏が激しく、海氷の裂け目(クラック)もあって、移動中はまるで暴れ馬に乗っているような感覚でした。このような海氷の起伏は、氷床の衝突や重なりによって形成されたものです。観測現場は一面銀世界で、海氷と大気の間のCO2交換を観測するのに丁度よい環境でした。ここはR2と呼ばれるポイントで、過去にも様々な観測が行われているようでした。

タワーは大気の様子を観測する機器で、このデータを基にCO2交換の様子を推定します。また、地表が空気を暖めたりすることで伝わる熱も測定できます。

(写真3)タワーの様子
(写真4)放射計の様子

放射計は太陽光やその反射光、地面からの赤外線などを測定します。太陽や地面の熱が光として伝わる熱放射という現象を観測しています。熱交換を考えるうえで、熱放射という熱の伝わり方の一つを観測することは非常に重要です。

今回の観測では海外のガイドの方や学生の方と共同で活動する機会にも恵まれました。

(写真5)我々の観測チームのメンバーとBrent氏の学生のチーム

最後に今回の北極での観測にご協力いただいたカルガリー大Brent准教授とその学生の方々、お世話になったCHARSやガイドの皆様、費用の援助をしてくださったArCS IIの皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。

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